天空闘技場編

□#33 会いたい
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まだ彼女たちと別れてほんの一週間しか経っていないが、クラピカの頭の中はアイリに会いたい気持ちで一杯なのだ。



恋というものにめっぽう疎い彼。

あの日、空港でアイリと別れる時は、
“好き”という気持ちが強ければ、離れていても大丈夫だという自信があった。

会えなくても、お互いを想う気持ちがあれば、それが励みになる─…と。



しかし、彼は気付いてしまった。

“好き”という気持ちが強ければ強いほど、
“会いたい”と思う気持ちも同じだけ強くなる。



こんな簡単なルールに、どうしてあのとき気付けなかったのだろうか。




気付いたところで、やはり彼女を連れて来る勇気など無かったのだけれど……。



そんな事を考えながら、ふっと思い出したようにポケットの中の紙切れを取り出す。


角をしっかり合わせて折り畳まれたそれに、彼の性格が表れているようだ。


クラピカはその紙切れを、ゆっくりと丁寧に開いた。



“090−####−####
○○○○○@mobile.ne.jp

キルア”



空港で仲間と別れる際、連絡が取れるようにと渡されたメモ。


ハンター試験中、携帯電話を持っている者は誰もいなかった。

しかし、幸いにもキルアが一時帰宅した際に携帯を持って出たため、それが彼らを繋ぐ唯一の道具となったのだ。


この番号に電話すれば…

アイリの声も聴けるはず─…




そこまで考えてクラピカはまた、紙切れをポケットにしまった。


『全く情けない。

今からこんなでは、彼女にだって笑われてしまうぞ。』



不甲斐ない自分に自嘲気味な笑みを浮かべながら、
今はとにかく仕事を捜すが最優先と、やっと伝票を掴んでレジへ向かう。


仕事が決まれば携帯も必要になる。

その時まで─…

アイリの声はお預けだ。




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