番外編
□ハートのQUEEN
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第287期ハンター試験。
この年に見事試験に合格したのは九名。
最終試験で脱落したのは……
まさかのキルアだった。
合格者が必ず受講しなければならない講義を受け、イルミにキルアの居所も聞き出したアイリたち。
今は最終試験が行われたホテルでククルーマウンテンの情報について調べている。
しかし、ジュリだけは「用があるの。」と言って席を外していた。
「………あ。」
ホテル中を走り回った末に、とうとう中庭でお目当ての人間を見つけ出した。
黒くて長い真っ直ぐな髪。
暗闇のような瞳。
向から来るその人物は、ジュリの存在に気付くとピタリと足を止めた。
「まだ何か用?
ククルーマウンテンの場所なら、俺に聞かなくてもネットですぐ見つかるよ。」
眉一つ動かすことない彼の頭の中には、実の弟が苦しんでいた数時間前の記憶など、頭の片隅にも残っていないのだろう。
そんな彼の表情を見ていると、また沸々と怒りが込み上げてくる。
ジュリはワナワナと震える拳に力を入れると、ずっと言いたいと思っていたことをイルミに告げた。
「三次試験のときは……
わたしを助けてくれてありがとう。」
「…………。」
一瞬、聞き間違えかと思う発言。
彼女は一体、何を考えているのだろう。
キルアを追い詰めたイルミのことを、襲い掛かるくらい憎んでいたはずのジュリ。
そのジュリが、わざわざ三次試験のお礼を言うために自分を捜していたというのか…。
ポーカーフェイスの裏で、やや思考が混乱しているイルミ。
しかし、そんなことに気付くはずもなくジュリは続けた。