side heroine.
「おはよう、ルリアちゃん」
『…おはようございます』
いつもと同じ挨拶。
この挨拶に意味なんかなくて。
儀式のように義務的に行われるそれに、もう何も感じない。
あぁ、今日もいつもと同じ一日が始まる。
…なんて、単調なのだろう。
この生活が終わるのならば、何だって差し出せる気さえした。
私がこの孤児院に引き取られたのは、今から16年も昔のこと。
生まれたばかりの私は、ある日突然そこにいたと院長から聞いている。
そして今、私はいつも一人きり。
みんな私から離れて行ってしまう。
神様は、私が幸せになることを許してくれないみたいだ。
『…部屋に戻ろう』
私は静かにその場を後にした。
自分の部屋に戻って一冊のマンガ──HUNTER×HUNTERを手に取った。
…この本は、唯一の私の私物。
そして、唯一の私の楽しみ。
『私も、HUNTER×HUNTERの世界に行けたらいいのに…』
きっと、素敵な毎日が待っているはずだから…。