Raison d'etre

□紫の瞳の転校生
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side ran.


「蘭、聞いた?ウチのクラスに転校生来るんだって」
「転校生?」
「うん」

季節外れの転校生。

『初めまして、水島朱音です』

長い黒髪に、珍しい紫の瞳の少女。
そう言って一礼した彼女は、とても綺麗に微笑んだ。


放課後。
今日は部活が休みだったため、園子と一緒に帰ることに。
玄関まで来たとき、園子がある一角を指さす。

「ねぇ、あれ朱音ちゃんじゃない?」
「あ、ほんとだ…朱音ちゃん!」
『?えっと…、蘭ちゃんと園子ちゃん?』
「うん。一緒に帰らない?」
『…いいよ、』

一瞬考えるような、迷うような素振りを見せた後、彼女は首を縦に振ってくれた。

道すがら話すのは、出会ったばかりであるし互いのことがほとんどだった。
朱音ちゃんがこの年で一人暮らしをしているとか、私のお父さんが毛利小五郎だとか。

『あの毛利小五郎がお父さん?』
「うん、まぁ…」
「その上、旦那も探偵なんだから」
『旦那…?』
「ちょっと園子!違うの朱音ちゃん、あいつとはただの幼なじみっていうか…」

全く園子は。
慌てて朱音ちゃんに弁解するが、そちらはあまり気にしていないようだった。
代わりに、何やら考え込んでいる。

「蘭姉ちゃん、」

どうかしたのかと問う前に、名前を呼ばれてそちらを見る。
近くに、学校帰りだろうコナン君と少年探偵団のみんなが来ていた。

「コナン君…みんなも、今帰り?」
「うん」
『…蘭ちゃんの弟さん?』
「ううん、家で預かってる江戸川コナン君。それから、コナン君の友達の吉田歩美ちゃん、灰原哀ちゃん、円谷光彦君、小嶋元太君」
『水島朱音、よろしくね』

コナン君たちと一緒に歩き出そうとした時、携帯の着信音が聞こえた。
聞きなれないこの音は自分のではない。

『ごめん、ちょっと…』

鳴ったのは朱音ちゃんの携帯だったらしい。
しかし、画面を見て相手を確認すると、電話に出ることなく切ってしまった。
それを見て園子が問う。

「出なくていいの?」
『うん。でもごめん、私急いで帰らないと…』
「いいって、いいって」
「また明日ね」
『うん』

朱音ちゃんは携帯を片手に走って行った。





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