Raison d'etre

□闇に消えた真相
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side heroine.


事件後、すぐさま警察が学校にやってきた。
午後の授業はなくなり、代わりに事情聴取が行われる。
犯行時刻が授業中であったことから、生徒達は簡単な質問をされただけで次々と帰って行く。

そして、今は私の番。

「…貴女は授業に出ていなかったようですね?」
『はい、保健室にいました』
「その時、何か見たり聞いたりしませんでしたか?」
『いいえ。眠っていたのでわかりません』
「間違いありません。彼女が目を覚ましたのは、ちょうど授業が終わった頃です。それまではずっと眠っていました」

警察は保険医にも確認を取り、私のアリバイはすぐに証明されることになる。
実際私はこの場にいなかったわけだが、彼女は本当に私が寝ていたと思っている。

これは、私が生まれ持った能力。
私は彼女に触れたその一瞬で、彼女の本来の記憶を消し、新たな記憶を植え付けた。
私は問題となった授業の間ずっと、保健室のベッドの上で眠っていたと。
一つ目の力、それは、記憶を消去し修正すること。


『…あ、ジン?』

家に帰ってきた私は、すぐさまジンへ連絡を入れた。

〈聞き出しただろうな?ブルームーン〉
『当然よ。暗証番号を送るわ』
〈あぁ〉
『…ねぇ、』
〈何だ〉
『今度会えない?任務じゃなく』
〈…考えておく〉
『ありがとう!またね』

少しの沈黙の後、ジンから返ってきた肯定に、自然と笑顔になるのがわかる。
その後ジン宛てにメールを送り、今回の任務は無事完了した。

私のもう一つの力──それは、相手の心や記憶を読み取ること。
教頭に触れたあの時、私は質問を投げ掛けると同時にその答えを探った。
そして知ったのだ。
教頭が隠し持っていた金のありかの暗証番号を。

『───任務完了』


結局、警察は犯人を見つけることができず、この事件は迷宮入りとなった。
そして、学校は数日間休校となる。
私が送ったメールで、組織も無事に金を回収できた。

組織が関わっていたこと。
教頭が殺された理由。
そして、教頭を殺した犯人───。

この事件の真実は、その全てが、誰にも知られることなく闇に消えた。





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