Raison d'etre

□二つの事件
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side heroine.


その日、先日ツインタワービルへ行ったメンバーで警視庁に呼ばれていた。

「君たちに来てもらったのはほかでもない。実は、ツインタワービルのスイートルームで、刺殺体が発見された」
「この人!」

目暮警部の言葉と共に千葉刑事が出した写真に、コナン君が声を挙げる。
写っていたのは、西多摩市市会議員の大木さんだった。

「彼が常盤美緒さんに宿泊を頼んだ時、君たちもそばにいたと聞いてな。千葉君」
「はい。被害者の死亡推定時刻は、午後10時から午前0時の間です。凶器はナイフと思われますが、現場には残っていません。でも、大木氏の手には、二つに割られたお猪口が握られていました」
「お猪口?」
「これです」

白鳥警部がビニール袋に入れられた小さな陶器の器を取り出す。
ほぼ真っ二つになっているそれは、故意に割られたものだと思う方が自然。

「大木氏が持ち込んだもので、犯人を示すダイイング・メッセージではないかと考えている」

普通に考えて、この割れたお猪口は被害者の持ち物なのだろう。
殺しをするときは、自分がその場にいた証拠を残さないようにすることが鉄則だもの。
犯人が持ち込み、わざわざ割って被害者に持たせる、なんてするとは思えない。
ただ、引っかかることが一つだけ。

───お酒

組織の誰かが、今回の原暗殺とTOKIWAのデータ破壊の一環として殺ったとか。
…ううん、それはないわね。
メッセージを残させるなんてことしないし、そもそも、ターゲットは大木さんじゃなくて原だし。
対象を間違えたという線も考えにくい。

場所が場所だけに深読みしたくなるが、仇の偶然である可能性も捨てきれない。
私たちが原を始末しようとしていることとは関係なく、誰かが私怨で大木さんを殺したのだと。

「つまり警察は、容疑者はあの5人の中にいると考えているわけっすね」
「現場が、まだオープンされていないビルということもありましてね」

容疑者5人の写真が貼られる。
一瞬原が殺ったのかと考えたが、奴にだけアリバイがあるらしい。
常盤さん、それからお猪口とのつながりで如月さんの可能性も浮上したが、結局、犯人を突き止めるには至らなかった。

…原の殺害、やるなら今かしら。





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