Raison d'etre

□3人目の犠牲者
1ページ/2ページ


side heroine.


オープンパーティー当日。
毛利探偵事務所の前へ行くと、園子ちゃん以外のみんなが揃っていた。

「朱音ちゃん」
『お待たせ。園子ちゃんは?』
「家は出たみたいだから、もう少しだと思うよ」

携帯片手に蘭ちゃんが苦笑する。
遅れ気味の園子ちゃんもあれだが、私だって急に予定を変更している。

『そう言えばごめんね、急に行くって言い出して…』
「ううん。用事、なくなったんだっけ?」
『そうなの、一昨日になってね。おかげで何着てこうか迷っちゃった』
「でも可愛いよ、そのワンピース」
『ありがとう』

私が来ているのは、ジンが送ってくれた青いワンピース。
ノースリーブのそれに、一緒に入っていた黒のジャケットを合わせている。

「はーい、お待ちどうさまー」
「園子!どうしたの、その髪!?」

最後に現れた園子ちゃんは、いつものストレートの髪にウェーブをかけていた。
髪形ひとつで、人間、印象は変わるものだ。
ふと視界に入ったコナン君の視線は、まさに見入っているという感じで、真っ直ぐ園子ちゃんに向かっている。

『コナン君?どうしたの?』
「あ、えぇと、何でもないよ…」

光彦君は園子ちゃんに見とれていたのだと解釈したみたいだけど、それとはどこか違う気がした。
そう、たとえば、似ているほかの誰かを思い出していたとか。
園子ちゃんを通して、その向こうに別の誰かを見ていたような。
その時のコナン君は、そんな目をしていた気がした。


夕暮れのパーティー会場からは、夕日に照らされた富士山が見えた。

「綺麗ねぇ」
「"あぁ、こんな美しい景色を新一と一緒に見られたら、私もうどうなったって"でしょ?」
「何が"でしょ?"よ」
『ふふふっ。新一さんって蘭ちゃんの彼氏?』
「ほら、前に話したでしょ?蘭の旦那」
『あぁ、あの時の彼ね』

転校初日、探偵だと聞いた彼のことか。

「もう、園子!」
「そう言えば、朱音ちゃんはいないの?」
『え?』
「彼氏よ、彼氏」
「そう言えば、聞いたことなかったかも」

急に自分に振られた話。
彼氏──そう言われて思い浮かべるのは、いつも自信に満ちたジンの顔。

「で、どうなのよ?」
『…いるよ、』
「マジ!?どんな人?」

その時、会場にアナウンスが響いた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ