Raison d'etre

□始動
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side heroine.


常盤さんが殺され、警察がやってきた。

時計の表示を切り替えて確認すると、爆発まであと少し。
そろそろタイムリミットになってしまう。

それまでにシェリーを見つけたいところだが、そもそも私はシェリーの顔を知らない。
知っているのはコードネームと、科学者であり例の薬を作っていたということだけ。
それに、行くとは言っていたが、本当に来ているかはまた別の問題。
とりあえず、怪しい行動を取っている人がいないか、参加者全員が待機しているであろうこの時に確認しておこうと思う。


そして、ついにその時は訪れた。
地下4階で爆発が起こり、ビル全体が地震のように揺れ、上階から次々と照明が落ちていく。
続いて聞こえた爆発音は、40階のコンピュータ室からだろう。
少し周りと距離を取り、ピアスとして付けていた無線をつないだ。

『ジン、』
〈ブルームーンか〉
『老人、女性、子供は展望エレベーター。ほかは60階の連絡橋。予定通りね』
〈あぁ〉

目暮警部が決めた避難経路だが、あらかじめ、そうなるようにこの爆発を起こしている。

〈奴はいたか〉
『いいえ、それらしい人は特に。最も、私は彼女の顔を知らないんだけど』
〈そうだったな〉
『じゃあ、下で会いましょ』

ジンとの無線をいったん切って、蘭ちゃんと園子ちゃんのそばへ戻る。
展望エレベーターによって、次々に人が下りていき、残すは1回分に人数。
目暮警部を残し、連絡橋組がパーティー会場を出て行くと、再びエレベーターが75階へ戻ってきた。

「さぁ、乗って下さい」

目暮警部に促され、私もほかの人たちと一緒にエレベーターに乗り込む。
最後に沢口さんが乗り、展望エレベーターは地上へ向かって降下し始めた。

向かいに見えるビルの屋上に、ジンがいる。
遠すぎてさすがに肉眼では見えないけれど、向こうからはきっと、スコープでこちらが見えているんだろう。

「でもこのエレベーターだけ、別電源で良かったよねー。そうじゃなきゃ、階段で降りるんじゃ大変だよ」
『そうだね』

電気室と発電機室を爆破したことで、展望エレベーター以外が使えなくなっている。
そして、3面がガラス張りのこの展望エレベーターは、外部から乗っている者全員を確認できる。

〈ブルームーン、〉

その時、ジンから無線が入った。
無線の向こうの声は、どこか高揚しているように聞こえる。

〈いるじゃねぇか、お前の隣に〉
『え…?』

…私の、隣…?
ジンの言葉に、隣にいる園子ちゃんを見ると、そのこめかみにレーザーポイントがあった。





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