Loveless Memory

□血の雨と蜘蛛の証
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side heroine.



目の前に倒れたシャルを見て、シャルが死んでしまうという恐怖と、シャルを傷つけた男への怒りが同時に湧いた。

ナイフを投げた男を、キッ、と睨み付ける。



「そんなに睨まないでよ、お嬢ちゃん。怖いなぁ」

『…誰?』

「ただの殺し屋さ。ここのオーナーに雇われてた、ね」

『…そう。なら、何の問題もないね』



右手を真横へ突き出す。



『生死を分かつ大鎌(デッドアライブ)。木々の束縛(リストレイトツリー)』



右手の中に大鎌が現れるのと同時に、男の体を木の幹が拘束する。

ナイフを使って切り付けるが、太く、何重にも纏わり付いた幹は、そう簡単には自由にしてくれない。



「くそっ…取れねぇっ!」

『…さて、』

「まっ、待てっ!」

『どんな理由があろうと、シャルを傷つけた代償は、その命で払ってもらうわ…』

「待てっ、俺はっ…」

『バイバイ、殺し屋さん?』



───ザシュッ…

思い切り大鎌を降り下ろしたことで、男の首が宙を舞った。

吹き出す血が雨のように降りかかる中、私は冷めた目で男を見下ろしていた。















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