Raison d'etre

□紫の瞳の転校生
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side heroine.


蘭ちゃんや園子ちゃんたちと別れた後、そのまま滞在中のマンションへ戻ってきた。
エレベーターに乗り込み、ボタンの下の差し込み口にカードキーを入れる。
これで、このエレベーターは最上階まで直通になる。

エレベーターは最上階へ。
扉が開けば、そこには玄関ホールが広がっている。
このマンションの最上階は一続き、つまりは一部屋しかない。
最上階へ行く方法も、住人である私と管理人が持っているカードキーを使うしかない。
ここは、しばらくこの近辺を拠点として活動するために組織が与えてくれた部屋。

周りに人もいない。
ようやく携帯を取り出して、先程かかってきた相手にかけ直した。

『もしもし、』
〈なぜ出なかった〉

…あぁ、やっぱり怒ってる。
相手を確認しただけで、出ることもせず終話ボタンを押したのをわかっているみたいだ。
彼の電話に私が出ないなんて、普段ならそんなことありえないものね。

『…仕方ないでしょ、周りに結構人がいたの』

私だって、本当は出たかったわよ。
いつも顔を合わせていたのに、数日でこんなにも離れていたような気がする。

〈………〉
『ごめんってば。…それで、どうしたの?』
〈…殺れそうか?〉
『あぁ、そのことね。心配しないで。誰かに見られるようなヘマしないわ』
〈そうだな〉

心なしか、電話の向こうで微かに笑ったような気がした。
信頼してくれている。
それが何より、私を動かす力となる。

〈それより、バラす前にちゃんと聞き出せよ。…ブルームーン〉
『わかってるわ。じゃあね…ジン』
〈あぁ〉

結構は明日。
ちゃんと成功させて見せるわ。





to be continued... (back)

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