Raison d'etre
□始動
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ほかの人間がいる場所では、下手に声を上げることもできない。
ジンが園子ちゃんをシェリーと間違えているのか、それとも本当にシェリーが鈴木園子なのか。
最も、普段の園子ちゃんの様子じゃ、組織の人間であることも科学者であることも考えられない。
とすれば、ほぼ間違いなく前者。
それを伝える前に、無線からジンの声がした。
〈眠れシェリー。永遠にな〉
その直後、コナン君が園子ちゃんに向かって叫ぶ。
「園子姉ちゃん、パンツ丸見え!」
コナン君の言葉に下を見た園子ちゃんの頭上を、ジンの撃った弾が通り抜けていく。
銃弾はそのまま、エレベーターの操作パネルのボタンを打ち抜いた。
それにより、エレベーターがゆっくりと停止する。
「何々?何で止まるの?」
エレベーター内がざわめき、園子ちゃんはといえば一人パニックになっている。
〈…まさか、別人か?〉
『…後で話すわ』
ジンだけに聞こえるよう、それだけ伝えた。
とにかく、この部屋を出なければ。
蘭ちゃんに肩車をされたコナン君が天井を蹴り開け、蘭ちゃんがエレベーターの扉を開く。
私たちは、無事エレベーターから脱出した。
「何階かしら、ここ」
「45階だよ」
「連絡橋がある階ね」
「橋を渡って隣のビルに逃げよう!」
全員で連絡橋へ向かって走る傍ら、再びジンへと無線をつなげる。
『ジン、』
〈さっきの奴は誰だ〉
『クラスメイト。一緒にいる限りでは、ただの一般人ね。組織の人間でもなければ、科学者でもない、普通の女子高生ってとこ』
人違いを伝えれば、ジンも解ってくれたみたいだ。
〈…そうか。奴は残ったか〉
『どうかしら?上には誰もいないはずだけど、その可能性もなくはないわ』
〈橋を渡れ。お前が通ったら落とす〉
『了解』
45階にある連絡橋が、目前に迫っていた。
to be continued... (back)