凍てつき刃を振りかざせ

□伸ばした手、その先の
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「結・・・・・・・・・」

「なっ・・・!?」

子供の声が響いたと思うと騰蛇だけを取り囲む決壊が創成された。

騰蛇と刃を交えていた朱雀は結界の外にはじき出された。

空中で崩れた態勢を立て直すと危なげに着地した。

突然爆風が起こり、視界を砂嵐に奪われた。

腕を交差しその隙間から何とか敵の姿を確認しようとするも、砂塵で何も見えない。

前後左右もわからない。

神気を爆発させて砂嵐を切り開こうとしたときほんの数瞬、視界が開けた。

―――時が止まったかのように思えた。

ここに居るはずのない子供が白いものを天掲げるようにして何かを唱えていた

驚きで固まっていた朱雀は再び吹き荒れた砂嵐に飛ばされかけた。

何をしていたのかは解らない。だが、直感が告げる。危険だと。

―――止めなければ

朱雀は全霊を振り絞り砂嵐を爆発で吹き飛ばすと子供の姿を探した。

すると、先ほど騰蛇がいた場所にその姿はあった。

その頭上には光に包まれた物の怪がいた。

どういうことだ。そう問いただそうとしたとき、操り人形の糸が切れたようにその体が傾き倒れた。

「昌浩―――!」

朱雀は手を伸ばしその子供の名前を叫んだ。





――一番怖いことはなんだ

昔、同胞に聞かれた質問が頭をよぎる。

――それは、伸ばした手が届かないことだ・・・・・・。

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