凍てつき刃を振りかざせ
□一つ目の決意
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第三話 一つ目の決意
「雄の件の予言は必ず当たるが、雌の件がその予言の回避方法を告げる、か……」
寮の塗籠の中で件について調べていた昌浩は低く呟くと天井を見上げた。
昨日見た夢。
紅く染まった衣に、大切な人達、そして二頭の件。
先に現れた件は崩れるようにして消え去ったが、
後に現れた件は予言をしたが姿を消しただけで消えてはいない。
なら、そちらの方が予言を回避する方法を教えると言う雌の件か
雄の件が告げたことを思い出す
『紅き炎の神の手はお前の血によって赤く染まり、
狂った神によってお前のすべて者達の灯が奪われる』
おそらく、紅き炎の神と狂った神は同じ者を指している。
なぜ、自分の血によって赤く染まるのかは分からない。