凍てつき刃を振りかざせ
□歯車
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第六話 歯車
「敏次殿逃げて!」
必死に駆け出すも距離がありすぎる。
ふと、現実に自分が見た夢が重なる。
喉笛に吸い込まれてゆく槍。
ゆっくりと傾く四肢。
赤い池。
投げ出された手。
次々と倒れていく人々。
嫌だ、あの夢が現実となってしまう。ならないでと必死に願ったのに。
伸ばした手が空を切る。
あぁ、こんな事になるのならばもっと修行して敵に足を救われないぐらい強くなれば良かった。
誰かを傍に置いておけばよかった。
その時歯車は回りだした。
そして、光を闇へと変えるための絡繰りが動き出した。