凍てつき刃を振りかざせ
□小さな夢の浮橋
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第九話 小さな夢の浮橋
昌浩はあの後敏次と共に倒れていたのを発見された。
そしてその後何があったかを根掘り葉掘り聞かれた。
敏次が襲われ殺されそうになったことは
話したがあの時、何をしたかは伏せておいた。
物の怪は納得がいかない顔をしていたが先ほど渋々解放してくれた。
ふと目を伏せるとあの時聞いた最後の声が蘇る。
『最後に別れの刻をやろう。それまでに……』
――別れを済ませておくがよい。
「別れ、か……」
あの時、そのまま連れ去ってくれた方が楽だったのに。
目に見えぬ傷が鈍く痛む。
けれど、それは分からない。
見つめなければそこにある事さえ分からない。
そして、ゆっくりと白を侵食していく闇がある事さえも………。