凍てつき刃を振りかざせ
□あるはずもない、あの時の希望が…
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時間が大きく変わり、序章の時間軸になります。
先ほどいた建物から少し離れた所に窮奇の居る王の間がある。
下町を通り、その扉を開けようと手を掛けたとき、中から轟音と親しんだ気配があった。
まさか・・・
先ほどまで凪のように静かだった心が、一気に荒れる。
それを必死に鎮めながら目を閉じ、中の様子を『視る』
窮奇と無数の神、そして人間。
「来てしまった・・・」
出来るなら訪れないで欲しいと微かに願っていたものが来てしまった。
この気配を感じた時、ほんの少し前まで信じていた、あるはずもないあの時の希望が見えたような気がした。
それはない、この道しか救う手だてはないと理解していたつもりなのに。
「…いつか訪れる未来より、大切なものがあるんだ………」
自嘲気味に呟かれた声は誰にも届くことはない。
けれど、誰かに届いてほしいと思ってしまう。
そんな矛盾。