IF〜もしもの世界〜
□新たなる誓いを刻み込め
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「昌浩、目が覚めたか」
視線を横に下げると長兄が心配そうにことらを覗き込んでいた。
「あのねぇ、あにうえ。夢を見たんだ」
とても懐かしく、大切な夢を。
「そうか、ならちょっと里の様子を見てくるからおとなしくしてろよ」
なりちかの背を見送ると、大きく息を吐く。
全身が鉛のように重い。
時刻を確かめようと、重い首をよいしょと動かす。
その先に、思いもよらぬ人物がい、息を止める。
そこにはしおしおとうなだれた物の怪がいた。
「も……黒狼≪こくろう≫…、どうした?」
「……だ…」
「えっ…?」
「悠天だ。…お前に名を呼ぶ権利を与えると言っただろう」