IF〜もしもの世界〜

□儚き希いを聞きとどけ
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序・兆し



背が高くなった。

声が低くなった。

面差しと声は吉昌によく似た。

だが、昌浩らしさは変わらない。

三年・・・いや、四年ぶりに見た末孫を見つめていると不意に背中に氷河が降りた。

しかし、表面上は取り繕う。

――今のは…まさか?

目を細め、大きくなった背を見つめる。

その視線に気が付いたのか、肩越しに振り返ったその瞳を見たとき、推測が革新へと変わる。

兄の成親と勾陣を追い越した背。

その瞳と面差しにときたま微かに表れる人外の者の色香。

「まさひろ……」

この胸を貫く小さな棘はなんなのだろうか…







風に乗り散る花弁

それは闇に生える薄桃色に色づく白の色

だが、この目に映るものは紫の花。

そして、赤く染まった白。

白い狩衣を赤に染め異様に嗤うのは見知った青年。

動かない体。

怒りをあらわにする神将。

紅から青白く変化した炎蛇が青年を襲う。

牛の体に人の顔。

件。

それは嗤いながら告げる。

『お前は愛する者の手にかかり死ぬ―――』

驚愕する昌浩を見てさらに告げる。

『そして、愛する者たちもお前の手にかかり死ぬ――――』







―――

歎(なげ)きの希(ねが)いを聞き届け

この話は新章のパロです。

結末の勝手な妄想なので苦手な人はリターンしてください。

原作は尸櫻で被っていますが、この名で行きます。

2012/07/01 ブログより
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