IF〜もしもの世界〜

□現人の世の詩を聴け
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だらりと、獣の背の上に力なく持たれる小さな体。

投げ出された腕を伝い、いくつもの血の筋か紅く描かれ、指先から滴り落ちる。

紙のように白くなって行く面差しに、死の影が迫っていることがはっきりとうかがえた。

「真鉄、こいつどうする?」

「とどめを刺すまでもない、放っておけば遠からずこの命は黄泉へと堕ちる」

「ここに置いて行くか…。そうだ、真鉄こいつを贄にしないか?」

狼のその言葉に、名案だという風にその首筋を叩く。

そして、子供の襟首を掴むと足元に流れる川目がげ叩き落とした。

紅い雫をこぼしながら川に落ちると、激流に紛れ、あっという間に見えなくなった。

そして、それを見送ると獣と青年は森の奥へと帰って行った。
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