新しい日の出を眺めながら、昌浩は盃を仰ぐ。

「なあ、紅蓮」

その声に隣で同じように盃を仰いでいた物の化が視線をよこす。

「また、お前と新しい年を迎えることが出来たな」

ほんの少しの切なさをたたえた黒曜の瞳が細められる。

「あけましておめでとう、紅蓮」

淡い笑みが零れる。

「ずっと、一緒に生きられたらいいのにな……」

「一緒に生きられないからこそ今を大切にしているんだろ?」






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