主食。
□Melancholic
2ページ/2ページ
廊下を歩いていると、部屋の窓辺に座り空を眺めている沖田さんがいた。
ああ、そうか、今日は雨か。
憂鬱だ…とか呟いて。
「旦那のとこ行けませんもんね」
そう言って横に座ったら怒られた。
それにしても沖田さんは旦那のどこが好きなんだろう。
ダメ元で聞いてみた。
「……優しい、とこ」
やさ……っ!?
旦那優しい?
あ、沖田さん限定か。
沖田さんは万事屋の旦那の話をするとき、凄く優しい顔をする。
愛されてるなァ、万事屋の旦那。
ふと、後ろで気配を感じた。
戸は入ってきたとき閉めてるから誰かは分からないけど、気配で分かった。
「旦那に、会いたいですか?」
「あ、当たり前でィ。でも、今日は会えねぇや……」
そうでもないみたいですよ、沖田さん。
戸を開けた沖田さんを見て、思った。
この人は心の底から旦那が好きなんだろうな、って。
会いたかったなんて思ってない、とか言いつつ嬉しそうな顔。
ここは空気を読んで部屋から出ていくことにした。
「……にしても」
旦那は全部聞いてたんだろうな。
旦那の好きなところとか、会いたいとか。
旦那の屯所の出入りは本当は禁止なんだけど、沖田さんが幸せそうだから何も言わないことにした。
その後、街でパトカーを運転する旦那と助手席に座る沖田さんの姿が目撃された。
End.