ドSの''天然少女攻略本''

□第4話
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―――――…

翌日。

『そーくん、トシくん、早く早くー!』
「凛待ちなせェ!!」

隊服を着て腰に刀を下げ、初めての仕事見廻り。
凛は沖田と土方に連れられ、江戸の街を見廻っていた。

「凛、はぐれないよう手ェ繋ごうぜ。土方さんは帰ってくだせェ」
「オメェは楽しくデートってか!?させねぇよ、んな危険なこと」

土方と沖田は相も変わらず喧嘩ばかりだが、凛は気にせず淡々と歩く。
ふと凛が足を止めた。

「凛?どうした?」

土方は何かあったのかと凛を見た。
すると、凛は一目散に駆け出した。

「ちょっ、凛!総悟、追「凛!!」あ…おーい……」

沖田は土方を無視し、凛を追った。
土方も追う。
凛は通りのある店の前で止まった。

『やっぱり!銀ちゃんですよね?』
「ん?あ、凛!何?銀さんに会いに来てくれたの?」

凛は駄菓子屋に入っていく銀時を発見し、駆けて行ったのだった。

『いえ、見廻りしてるときに銀ちゃんが見えたので走ってきました!!』
「マジでか。つか隊服じゃん。似合ってるよー」

銀時は凛の頭を撫でた。

『本当?ありがとうございます!』
「…ハァ…ハァ……旦那ァ、お触り…ハァ…禁止ですぜ」

そこに、やっと辿り着いた沖田が。

「沖田くん、息がきれるくらい走ってきたの?過保護だねェ」
「…ハァ……凛は目ェ離すと野郎に掴まっちまうんでねィ」

と、銀時の方を見る。

「なんで沖田くん俺を見るわけ」
「いや……」
「総悟!!」

駄菓子屋に土方が駆けて来た。

「なんで万事屋がいんだよ」

銀時を見て不機嫌そうな顔をした。

「なんでってここ駄菓子屋だしね」
「つか凛、こいつのこと知ってんのか?」
『うん!!この前そーくんに案内してもらった時に会ったの!!』

凛はにこにこしながら応えた。

「総悟、なんで一番面倒な奴に凛を紹介したんだよ」
「旦那が話しかけてきたんでィ」

土方が沖田と話しているすきに、銀時は凛と駄菓子屋の中で菓子を物色した。

「凛、銀さんが何か買ってあげよう」
『え、でも…悪いです……っ』

遠慮する凛。

「いいのいいの。あと、タメ口でいいよ。俺と凛の仲じゃねぇか」
『え、あの…っ本当に敬語じゃなくてもいいの?』

凛は銀時を見上げながら言った。

「(上目遣い…//)うん、凛は可愛いから銀さん大歓迎!!」

銀時がそう言うと、凛は満面の笑みを浮かべた。

『武州じゃ友達も出来ないし、ミツ姉が死んじゃってから両親以外話す人居なくなっちゃったから友達出来たみたいで嬉しい!!』

凛はミツバによくなついていた。
またミツバも凛を妹のように可愛がっていた。
沖田や土方、近藤らが武州を離れてからはいつも凛はミツバと一緒だった。
沖田は肉親だが、凛の方がミツバとは長く一緒にいた。
あの時、一番ショックを受けていたのは本当は凛なのかもしれない。

銀時はまた凛の頭を撫でた。

「そっか。なら、凛にぴったりな奴がいる。神楽って言ってな、天人だが…いい子だから、その内紹介するな」
『うん!!銀ちゃんありがとう!』

まるで幼い子供のように喜ぶ凛に、銀時は違和感を覚えた。

「くそ、埒あかねぇ。行くぞ、凛!」
『はーい。またね、銀ちゃん。次会うときは神楽ちゃん紹介してね!約束だよ!』

そう言って凛は銀時の小指に自分の小指を絡ませた。
そして離れる小指。

『銀ちゃんばいばーい!!お菓子ありがとー!』

銀時は片手を振り、凛たちの行った方向を見つめた。
さっきの違和感はなんだったのか。
謎は解けないまま。

「(何て言うか…まるで……)」

幼い子供、みたいな。
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