ドSの''天然少女攻略本''

□第5話
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ガキィーンッッ!!

刃のぶつかる音が鳴った。
凛は閉じていた目を開いた。
そこには、長髪の男が。

「攘夷浪士がおなごに刀を向けるのはあまり感心しないな」
『(あれ…?この人……)』
「「桂っ!?」」
「き、貴様は狂乱の貴公子桂小太郎!?」

そう、凛に向けられた刃を受けたのは桂だった。

「ち……ッ。退くぞオメェら!!」

桂だと分かると、浪士たちは走って逃げてしまった。
桂は刀を鞘に納めると、しゃがみこんだ凛と目線を合わせた。

「怪我はないか?」
『あ…、はい……』

凛は目の前の有名な攘夷志士を前に、どうしたらいいのか分からなかった。

『あの…桂小太郎…さん……ですよね?』
「ああ、そうだ。貴様らの間では有名だろう」

桂は土方と沖田を見て言った。

「名前は?」

桂は凛に問いかけた。

『近藤…凛です……』
「いい名だな。凛、次は攘夷浪士に出会っても安易に行動しないことだ。それでは俺は行く」

そう言い残して桂は路地裏の闇へと消えていった。

「凛っ!!」

沖田が凛の元へ駆けた。

「何やってんでィ!!心配しただろ……っ」

沖田は凛を抱き締めた。
反り血で凛の顔や身体は真っ赤。

「怪我はねぇみてぇだな」

土方は凛を見て言った。

「大丈夫か…?」
『そーくん……、人を斬るのってあまり気持ちいいものじゃないね…』

凛は虚ろな目をして言った。

「凛……っ」
『でもね、そーくん。私、辞める気はないよ』

そう言うと、口元に付いていた血を隊服の袖で拭った。

『だって私、そーくんに…』

その時、頭に痛みが。

ズキン…っ

『そーくん…に……て…の…―――っ』

ぐら…っ

凛は沖田に抱かれたまま、意識を失った。

「凛!?凛―――!」

路地裏に、沖田の叫び声が響いた。


―――

「真選組副長補佐、近藤凛…。クク……っ。なかなか面白ェ奴じゃねェか。なァ、幸村よ……」
「そうですね、高杉様」

その様子を高杉とその仲間、幸村冷が見ていた。

―――



オリキャラ説明はあとがき参照。
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