ドSの''天然少女攻略本''
□第9話
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―――――…
『久しぶりの見廻りー♪』
「凛ー、走ると転けるぜィ」
「総悟、ちゃんと凛見とけよ」
近藤全裸の騒ぎから数日後、凛の見廻り許可が近藤から降りた。
なので、また沖田と土方と共に凛は見廻りをしている。
「でもやっぱり凛に見廻りは危ェ気がするんだが」
『そ、そんなことないよ!!』
凛が慌てて言う。
あの日以来、見廻りの許可が降りなかった凛。
土方は心配らしい。
「それなら土方さん、俺にいい案がありやす」
「何だ、総悟」
「凛の周りを30人くらいの隊士で固めるんでさァ。それなら襲われたりはぐれたりしやせん」
「いや、襲うどころか誰一人近寄らねぇよ!!つか何の集団!?」
土方は沖田に突っ込みを入れるのに忙しい様子。
「土方さん、こんなことしてるとまた凛とはぐれちまいやすぜ」
「ああ…そうだな」
沖田の一言で、まともに見廻りを再開した。
凛は相変わらず色々なものに興味津々。
あっちこっちにふらふらと歩いていってしまう。
沖田はポケットから何かを取りだし凛に差し出す。
「凛、これを付けなせェ」
『えと…そーくん、これ何?』
しびれを切らした沖田が差し出したもの、それは…首輪。
「なんでだよ!!普通に考えておかしいだろうが!!」
土方がシャウトする。
「大丈夫でさァ。これは4mまで伸びるんで。厠とか風呂の心配はいりやせん」
「そういう問題じゃねぇ!」
「ちょっとちょっと、そこのお兄さん」
土方が沖田の持つ首輪を没収したその時、後ろから声がかかった。
「あん?んだよ、こっちは忙しいんだ。こんな真っ昼間からキャバなんざ行ってる暇なんざねぇ……っておい…。何やってんだ万事屋………」
「旦那じゃないですかィ」
「人違いですぅ。パー子ですよー」
声をかけたのはパー子基銀時だった。
『トシくんこの人と知り合い?』
「あ、ああ、まぁな……。んで、何の用だ」
土方に聞かれ、銀時は真面目な顔をして一言。
「オメェら3人、今日1日キャバ嬢やってくんねぇか」
と土方達に告げた。
「断る。テメェの働くオカマバーに足踏み入れる気はさらさらねぇんでな。他当たれ」
土方はもちろん即答。
「カマじゃねぇ、キャバだ」
看板には《スナックすまいる》の文字。
オカマバーではなくあのスナックだ。
「……土方さん、俺達とんでもねぇもんに捕まっちまったんじゃないですかィ?」
沖田は何かを察したように言う。
「俺もそう思う。悪ィな万事屋、俺達は帰らァ」
土方と沖田が危険を察知し、凛を引き連れて屯所へ戻ろうとしたその瞬間、スナックすまいるから魔王の声が響いた。
「銀さーん。可愛い娘居たみたいね?早く3人とも連れていらっしゃい」
志村妙の声だった。