主食。

□寝顔
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沖田は、土方の部屋へと続く廊下を歩いていた。
自分の始末書を渡しに行くためだ。
またもや町でバズーカをぶっ放した彼は、始末書を渡された。

「(土方のヤローに書かせりゃァいいんでィ)」

人気のない廊下を黙々と歩く沖田はそんなよからぬ事を考えながら、ドSな笑顔を浮かばせていた。

―――――…

土方の部屋の前へと着いた沖田は、

「土方ァ、俺からのプレゼントでさァ」

と遠慮の欠片もない態度で土方の部屋の戸を開いた。

「おーい、ひじか……」

土方、と呼び掛けて沖田は口をつぐんだ。
机に伏せて、寝息をたてる土方が見えたからだ。

「(なんでィ、人がせっかく来てやったってーのに)」

ずかずかと部屋の中へ入り、土方を覗き込んだ。
整った顔。
町娘共が騒ぐのはよくわかる。

「…ホント殺したくなりやす」

ふと灰皿に吸いかけの煙草があるのを見つけた。
手に取り、口にくわえる。
ふぅ…と一度吸ってみる。

「…苦ェ。……土方さんとのキスの味がしまさァ」

ぽつりと呟き、煙草を灰皿へ戻す。
そして、土方の机につまれた自分の始末書をじっと見つめた。
土方に視線を戻し、沖田はふっと笑った。

「アンタの呑気な寝顔に免じて…今回の始末書は自分で書きまさァ。おやすみなせェ、土方さん」

沖田はそう言い、土方の額にチュッとキスをして部屋を後にした。


(こっちは起きてるつーの!)
(……ったく、可愛い事しやがって…)




End.


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