主食。

□真偽
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―――姉上が死んだ夜、土方さんは俺を抱いた。

『や……っひじ、か……っ』

別に土方さんとヤんのは初めてじゃねぇ。
いつも通りの事。
その日は特に…人の温もりが欲しかった。
それだけ。

『あ…ぅ……っん…』

お互いに、欲を貪って、頭ン中めちゃくちゃで。
途中から土方さんのされるがままで。
記憶なんざ曖昧で。
でも、ぼやける視界の中、俺ァ見た。

土方さんが、泣いてるところ。

『ふ、…っんく……あ…ぁ……っ』

声が掠れるくれェ喘がされて、それでも尚俺ァ見た。

いつから?、なんて聞かれたって答えれやしねェ。
気が付いたら土方さんと関係を持っていた。
愛だの恋だのの類の言葉じゃ表せねぇ関係。
居心地が悪ィ訳じゃねぇ。
でも、良いモンでもねェ。

『も…やぁ……っイ、く……っ』

どろどろの思考の中、

『ふ…あああぁ…ぁぁ……っ』

快楽だけに身を任せ、俺ァ意識を手放した。

朝になって、夜の事を思い出す。
姉上を思って泣いたのか?
俺ァ姉上の代わりなのか?
結論は俺だけじゃ出せねぇ。

『どうした?総悟』

たずねられても、

『…土方さん、好きでさァ』

必死にはぐらかして、

『…知ってらァ。俺も好きだ』

真偽は問わねェ。

その言葉が真であろうが偽であろうが、俺には関係ない。
姉上の代わりとかどうでもいい。

只この快楽に、
溺れるだけ。


(真偽が分かったら、そこで終わり)
(僕はまた過ちを繰り返す)



End.

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