主食。

□未提出の理由
1ページ/2ページ

「テメっわざとだろ。ぜってーわざとだろ。先生困らせて楽しいかコノヤロー」

国語準備室に銀八の声が響く。

「俺にそんな趣味はないですよ」

続いて土方の呆れた声。

「だってオメェこれ何回目よ」

銀八は手元の名簿表を見て言う。
その名簿表には、課題の提出状況が書かれていた。
土方十四郎と書かれた横には×印。

「中間と期末合わせて4回目じゃん。なんで出さねぇの?しかも現国だけじゃねーか。やっぱり俺を困らせんのが楽しいんだろ」
「そういう訳じゃねぇよ…」

土方は俯く。
課題の未提出者はテスト後に呼び出されるのが銀魂高校のルールだ。
もちろん職員室に呼び出される人も居るが、銀八のように教科の準備室がある先生は準備室に呼び出すことが多い。
土方は銀八と二人きりになりたいと言う理由で、毎回現国の課題を未提出にしていた。

「そういう訳じゃなくて…(アンタが好きだからで……)」
「なんだよ?」

口籠もる土方。
そんな土方を不思議に思う銀八。
でも先生に好きだの言えるわけもなく。

「いえ、別に……」

はぐらかす。

「土方ァ、オメェ頭だけは良いんだからよ、課題出さねぇと勿体ないぜ?」
「まぁ、気が向いたら出します」
「気が向いたらじゃなくて次は期限までに出せよー」

土方は銀八の声を背に準備室を出た。
扉を閉める。
しんと静まる準備室。
煙草を片手に銀八は呟いた。

「…ちっ、期待しちまうだろうが……。バカ土方」

 俺のこと好きなんじゃないかって…。

準備室の外の壁に凭れかかる土方も銀八同様呟いた。

「なんで気づかねぇんだよ…」

 アンタか好きなんだよ。

「「(俺ばっか好きで馬鹿みてぇじゃん)」」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ