主食。

□電話越しの遊戯
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しんと静まり返る万事屋。
聞こえるのは銀時の息遣いのみ。
神楽と新八は妙の家に行っているので、誰もいない。

銀時はソファーに身体を預け、可愛い恋人の事を思い出していた。

最近沖田の仕事が忙しく殆ど会っておらず、会いたいという欲が募るばかりであった。
沖田の邪魔になってはいけない、と電話も我慢していた。
が、そろそろ限界。
銀時はソファーから身を起こし、ダメ元で電話を掛けてみることにした。

「もう22時を回っちまったし…大丈夫だよな…」

プルルルル…プルルルル……

機械音が受話器の向こうで鳴り響く。
やっぱりまだ仕事中か…と銀時が諦めかけたその時、沖田の声が聞こえた。

「旦那…?」

驚いて思わず受話器を落としそうになる。

「えと…久しぶり。迷惑じゃなかったか?」
「迷惑なんて…今調度旦那に掛けようとしてたところなんでさァ…」

掛けようとしたら旦那から掛かってきて嬉かった。
そう答える沖田に、こちらも嬉しくなってしまう。

「今時間あるか?」
「風呂も上がってあとは寝るだけだったんで大丈夫です」

それから30分程、銀時と沖田はお互いの近況について話した。

ーーーーー…

「やっぱ馬鹿だろ。お前ンとこのゴリラ」
「ですよねィ。まさかあんな事するとは俺も思いやせんでした」

近藤のアホな話で盛り上がる二人。
だが、お互いに話が尽きたのか黙ってしまった。

「……っ…」

「(何か話ねェと…っ)」

このまま黙っていたら電話を切られるかもしれない。
それだけは嫌だった。
せっかく久々に電話したというのに。

ぐるぐる上記の事が回る。
ふと、"声"が聞きたくなった。

普段聞くのではなく、あの"声"を。

「…なぁ、沖田くん」
「なんですかィ?」

「"声"聞きてェ…」

囁くように告げる。

「……っ…!?」

沖田もどの"声"の事なのか察したらしく、恥ずかしそうに黙ってしまった。

「……駄目か?」

数ヶ月程ご無沙汰である。
銀時は銀時だが、沖田は忙しすぎてろくに触れてすらいない。

だが電話越しにそんな……。

沖田は悩んだ挙げ句。

「だ、旦那が…望むなら……っ」

了承した。

「マジでか!?断られるかと思ったー…」

銀時は嬉しそうな声をあげた。

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