ドSの''天然少女攻略本''

□第4話
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駄菓子屋から出た3人は、街を彷徨いた。
ふと凛を見ると小さな紙袋を持っていた。

「おい凛、何持ってんだ?」
『ん?これね、銀ちゃんに買ってもらったの!!』

ぽとり。

土方の口から煙草が落ちた。

「あんの野郎…凛を餌付けするつもりか……」
「いやー、侮れやせんね。万事屋の旦那。あ、凛、それくれよ」
『これ?うん、いいよー』

沖田は凛から菓子を貰った。

「ってなんでオメェは食ってんだよ!!」
「だって土方さんよ、もう1時ですぜ。腹減りやした」

沖田は棒つきキャンディをくわえながら言った。

「もうそんな時間か……」
『ご飯?』

凛は土方の方を見た。

「そうだな、そろそろ飯にするか」
「ならあそこにしやしょう」

沖田が指差したのはファミレス。

「んな子供っぽいとこ行けるかァ?定食屋だ定食屋」
「凛の真横で犬の餌食べる気ですかィ?」
「別に今更だろ」
「真横で犬の餌は今更でも俺には無理でさァ」
「んだと!?」

今度は沖田と土方は昼ごはんの場所をどうするかで言い合いを始めた。
昔から2人はこうなので、凛は気にもせず周りを見ていた。

『……ん?』

ふと狭い路地を行く不審な男2人を見つけた。
明らかに周りを警戒している。
凛は沖田と土方の方をちらりと見た。
2人はまだ言い合いをしている。
凛は腰の刀をぎゅっと握り、不審な男たちが消えた路地へと足を向けた。

路地裏へ行けば行くほど怪しい雰囲気が漂っている。
凛は足を進めた。

10分程歩くと、少し拓けた場所に出た。
凛はその場所の様子を陰から伺った。
人数は7、8人。

「おい、これで全部か?」
「幕府の犬どもに見つかってねぇだろうな」

怪しい会話のやりとり。
彼らの手には違法薬物が。

『(7、8人くらいなら大丈夫……)』

凛はそう思い、路地の陰から姿を表し違法薬物を持つ男に背後から話しかけた。

『そんなところで何をしているのですか?』

普段の凛からは想像できないようなハッキリとした口調。

「なっ!?幕府の犬か!?」

浪士たちは凛の隊服を見て一瞬怯んだが、凛が女だと分かると一気に囃し立て始めた。

「おいおい、お嬢ちゃん。幕府の犬のコスプレかァ?」
「何?憧れとかそういう?」
「幕府の犬のコスプレなんかしてたってお嬢ちゃん、強くなんかなれねぇよ?」

ゲラゲラと笑う。
凛はそんな行動にも動じず、真っ直ぐ前を見据えていた。

「おい、この嬢ちゃん刀なんざ持ってやがるよ」

と1人の浪士が凛の刀を指差して言った。

「俺達と殺り合おうってか?攘夷浪士もナメられたもんだなぁ」
「適当に傷付けて犯っちまおうぜ!!よく見りゃあかなり可愛いしよ」
「今日はラッキーだな」

浪士たちはそう言うと、凛に刀を向けながら3人くらい襲い掛かってきた。

『(きた……っ)』

凛は刀を抜き、昔沖田に教わった通り刀を振るった。

ザシュっ!!

「ぐ、あぁぅ!」
「ってぇ……っ」
「ガキのくせに…犯んのは無しだ!!殺しちまえ!!」

浪士たちは口々に言った。
今度は全員襲い掛かってきた。

(いいかィ?凛。余所見なんざしたら斬られるぜィ)

『(真っ直ぐ、斬る相手だけを見て)』

1度仕舞った刀の柄を握った。

(ちゃんと構えて、確実に仕留めなせェ。)

刀を抜き、振るう。
飛び散る赤。

「ぎゃァァァァ!!」
「この女…強ェ……っ」
「他の奴らも全員だ!!他の浪士を呼べ!」
「攘夷浪士が女如きに殺られたなんざ恥だ!!」

浪士たちが言うと他の浪士たちもどこからか出てき、凛に刀を振るい始めた。

『(大丈夫……っ)』

凛はただひたすらに沖田に教わった通りに刀を振るった。
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