主食。

□嫉妬する程恋をして。
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―――――…

何日かが経った。
神楽は今日から3日間、新八の家へ泊まる。

「銀ちゃん、ちゃんとご飯食べるアルヨ!!」
「わぁーってるよ。ったく…気を付けて行けよ」

銀時は神楽を見送った。
ふと閉めようとした時、ふわりと白く冷たいものが銀時の首をなぞった。

「つ、めてっ!んだよ…雪か……。道理でさみぃ訳だ」

扉をサッと閉め、リビングに向かおうとしたその時…後ろで物音が。
階段を昇る音。
懐かしい…足音……。

「なんで来んだよ……」

銀時は玄関に立ったまま動けなかった。
その足音は扉の前で止まる。

「おい…銀時……」

土方は銀時に話しかけた。

「ぎ、銀さんは留守でーす」
「オメェが居んのは分かってんだ、中に入れろ」

慌てて閉めた扉は鍵がかかっていて開かない。

「い…やだ……」

銀時はこの前の事を思いだし、土方を拒絶する。

「さみぃんだけど?(なんでなんだ!?)」

拒絶された事に少しショックを受けた土方だが、何もなかったかのように銀時に話しかけた。

「……んで来たんだよ」

玄関越しに話しかける。

「会いたかったからに決まってんだろ」

普段聞かないような台詞を聞き、銀時はつい扉を開けたい衝動に駈られる。
しかし、先日の事が頭から離れない。

「……て……じゃねぇの?」
「なんだよ銀時?」

いらいらする。

「…俺以外にもその台詞…言ってんじゃねぇの?」

銀時は静かに言った。

「はァ?何言って……っ」
「…帰れよ土方。顔なんざ見たくもねぇよ」

言った後に後悔した。
本当は会って話がしたい…触れ合いたいと思うのに、嫉妬が邪魔をする。
嗚呼、これは嫉妬だ。

扉の向こうからは物音一つしない。

「くそ……っ」

銀時は玄関で崩れ落ちた。

……がらっ!

いきなり戸が開く。

「せっかく来てやったのに扱いがひでぇな、銀時」

土方が入ってきた。

「鍵…してたハズ……っ」
「テメェの家の鍵なんざ簡単には開けられるってェの」

土方の手にはヘアピン。
明らかに女物だ。

「………っ」
「銀時、さっきのどういう意味だ?」

目を逸らす銀時に、土方はたずねた。

「別に…何でもねぇよ……」
「なら…こっち見ろよ」

頑なに目を逸らす銀時に土方はキスをした。

「…ん……なせ……っ」

銀時は土方を突き放す。
女と楽しそうに歩いてたクセに自分とこんな戯れ言をする土方に、銀時は感情をぶつけた。

「んだよ!こっちが会いに行ったら女と居るしよ、しかもストレートだし、土方は笑ってやがるしよ…。俺は……っ」

言いかけた銀時を土方は抱き締めた。

「なに……っ」
「オメェは誰の事も無関心だと思ってたんだがなァ……ちゃんと俺の事好きだったんだな」

土方は愛しそうに銀時の髪を撫でた。

「…誰なんだよ隣に居たのは」
「幼馴染みだ。久々に江戸に来たから案内してたんだよ」

いらいらが収まっていく。

「……さっきのヘアピンは?」
「あ?あれはオメェのだろ。忘れたのか?」

銀時は記憶を辿った。

「オメェがパー子やってる時に冗談で俺の前髪とめたじゃねぇか。その時ンだよ」

それは…かなり前の話。

「んなもんまだ持ってたのかよ!?」
「ったりめぇだろ。銀時…オメェのくれるもんならなんでも大事なんだよ」

銀時を真っ直ぐ見つめ言う。

「…ごめ…土方……っ」

体重をかけ抱きつく銀時に、土方は力を込めて抱き締め返したのだった。




End.
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