短編夢小説V

□幼女は大好物
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「君が現れるまで・・・小生は幼女の死体で我慢していたんだよォ〜?ヒヒッ」





思わず後ずさる恵梨華。





しかし葬儀屋は自分の世界に入り込んでしまったようで、それに気付かなかった。





「ぐちゃぐちゃになった幼女をね・・・ヒッヒ・・・小生の手で綺麗にしてあげるのさ」





自分の手を見つめながらニタニタと思い出し笑いする葬儀屋。





”逃げなきゃ危ない・・!”





恵梨華の本能がそう言っていた。





「ああ、でも恵梨華は最高だよ・・・君は死神だから、永遠に歳を取らない・・・」





熱く語りだす葬儀屋を尻目に、恵梨華はゆっくりと扉へと向かっていく。





気付かれないように、密やかに、秘めやかに。





「可愛いままで・・・小生の恵梨華はず〜っと可愛い姿のまま・・・」





あと少し。





「小さな身体で小生を・・・ヒヒッ・・・あぁあ〜、堪らないねェ〜〜」





あと少しでドアノブに触れる。





恵梨華がゆっくりとドアノブに触れようとした、その時だった。





「どこに行く気だい?」





耳元に吐息がかかる。





いつの間にか葬儀屋は、恵梨華の真後ろに立っていた。





「ッ・・・・・・」





ゾクゾクとした寒気が、恵梨華の背筋を駆け巡った。





「悪い子だなァ〜?君から聞いておいて、小生を放ってどこかへ行ってしまうなんて・・・」





あまりの恐怖に、恵梨華は立っている事が出来なくなり、その場に崩れ落ちた。





すると葬儀屋はかがみ込み、恵梨華の顎をクイッと持ち上げた。





「ぐふふ・・・その怯えた顔も可愛いよ。・・・穢したくなる」





ギラリと怪しく光る黄緑色の瞳。





そんな葬儀屋の瞳とは対照的に、恵梨華の瞳は不安に揺れ動いていた。





「あ・・・・あ・・・・・」





少しでも葬儀屋から離れようと、座ったまま後ずさりする。





そんな恵梨華の姿を楽しむかのように、葬儀屋はその様子を見ていた。





「ヒヒッ・・・恵梨華は鬼ごっこが好きなのか〜い?」





おちょくるような口調で恵梨華に話しかける。





「なら・・・もっと本気で逃げないと・・・鬼に捕まってしまうよ」





ガッと荒々しく恵梨華の前髪を掴み、顔を覗き込む葬儀屋。





「ほら、こ〜んな風に・・・ね?イヒヒッ」



-END-
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