長編夢小説

□明けましておめでとう
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「新年、明けましておめでとうございます」





恵梨華は新年の挨拶回りをしていた。





ここはファントムハイヴ邸。





玄関のところまで皆が迎えに来てくれていた。





「よく来てくれたな、恵梨華。今年もよろしくな」





「明けましておめでとうございます、お嬢様」





「おめでとう!恵梨華ちゃん!」





「お、おめでとうですだよ」





「・・なんつーか・・・お、おめでとう」





「ホッホ・・」





ファントムハイヴ家全員で迎えてくれていた。





「ここは冷えます。すぐにお茶の準備を致しますので、どうぞ中へお入りください」





ニコリと笑うセバスチャン。





そのまま恵梨華の手を取ろうとする。





「小生がいる事を忘れないでくれるかい?」





後ろから不機嫌ムード漂うアンダーテイカーがセバスチャンに釘を刺した。





「おや・・・いらしてたんですか」





わざとらしく気づかないフリをするセバスチャン。





「お前ら・・・新年早々にいい加減にしろ」





シエルは呆れたようにため息をついた。





「恵梨華、あんな奴らは放っておこう」





シエルは得意げに口角を上げ、恵梨華に手を差し伸べた。





恵梨華はシエルの手を取ると、そのまま屋敷の中へと入っていった。





「(伯爵・・・抜け駆けは許さないよぉ・・?)」

「(あぁ坊ちゃん・・・貴方も人の事言えませんね・・・)」





残された二人は悔しそうな表情を浮かべながら、後に続いた。










「しかし恵梨華・・・初詣に行くのだろう?」





「え?うん、この後死神図書館に行って皆に挨拶してから行くつもりだよ?」





「・・・僕がドレスを用意してやろうか?」





恵梨華はアンダーテイカーとお揃いの服を着ていた。





シエルもさすがに恵梨華を葬式の服で初詣に行かせたくはなかったのだろう。





しかし恵梨華は困った表情を浮かべた。





「う、嬉しいんだけど・・・私はこの格好の方が・・・落ち着くというか・・・」





「だが、毎日同じ格好をしているんだろ?たまには違う服を着てもいい気がするが・・・」





内心、恵梨華のドレス姿を見てみたいシエル。





必死に説得しようとしていると、アンダーテイカーが隣から声をかけてきた。





「恵梨華はねェ・・?小生とお揃いがいいんだよぉ」





ニタリと勝ち誇ったような表情を浮かべるアンダーテイカー。





シエルが驚き恵梨華の方を見ると、頬を赤らめ俯いていた。





「(・・・どうやら図星みたいだな。さて・・・どうしたものか)」





シエルは机に肘をつき、恵梨華がどうしたらドレスを着てくれるか考えていた。





そして何かを思いついたのか、ニヤリと笑った。





「セバスチャン、耳を貸せ」





ぼそぼそとセバスチャンに耳打ちするシエル。





「・・・御意」





するとセバスチャンはどこかへ行ってしまった。





「シエル?セバスチャンどこ行っちゃったの?」





「フッ・・・今に分かるさ。僕達は紅茶でも飲んで待っていればいい」





シエルは優雅に紅茶を一口飲んだ。





しばらくするとセバスチャンが帰ってきた。





「おかえり!セバスチャン!」





恵梨華の顔がパァッと明るくなった。





それを見て面白くなさそうな表情を浮かべる者が二人。





シエルとアンダーテイカーだった。





セバスチャンはシエルの顔を見ると、クスリと笑った。





「坊ちゃん、準備が整いましたよ」





「あぁ」





そしてシエルはゆっくりと恵梨華の方を向いた。





「なぁ恵梨華?」





「んー?」





「恵梨華はアンダーテイカーとお揃いならドレスを着るんだな?」





「えっ・・・?う、うん・・・でもそれって・・・」





ニヤリとシエルが笑った。





「アンダーテイカー、お前にもドレスを着てもらうぞ」





アンダーテイカーは驚いた表情を浮かべていた。
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