長編夢小説
□ダンスパーティ
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「ちょっとグレル!あんたのせいなんだからねっ!」
「あぁん☆ナニ言ってんのヨ〜!アタシは悪くないワヨ!」
恵梨華とグレルは遅刻しそうになりながら死神派遣協会へと急いでいた。
「グレルが昨日あんな遠い飲み屋に誘わなかったらこんな事になってなかったじゃない!」
「ア〜ラ?恵梨華だって喜んでたじゃないヨ!」
口喧嘩をしながら猛ダッシュの二人。
「ぎ、ぎりぎりセーフ!?」
二人は勢いよく協会のドアを開けた。
しかしそこにはウィリアムが立っていた。
「遅刻ですよ、恵梨華、グレル・サトクリフ」
無表情のウィリアムが言った。
「ウィル〜!今日ダケは勘弁してヨ〜」
グレルはくねくねと両手を合わせ、可愛い仕草をする。
ウィリアムはそんなグレルの頭をデスサイズで殴っていた。
「今日だけ・・・?聞き捨てなりませんね。毎日のように遅刻しておきながら・・・」
呆れたように少しため息をつくウィリアム。
恵梨華は慌ててウィリアムに近づいた。
「私はそんなに遅刻してないよ?!ね!?ねっ!」
ウィリアムを上目遣いで見つめる恵梨華。
そんな恵梨華にウィリアムの頬が少し赤くなった。
「・・・しょ、しょうがないですね。恵梨華だけは見逃してあげますよ」
少し照れながら視線をそらすウィリアム。
すかさずグレルから文句の言葉が飛び出した。
「ちょっと〜!恵梨華ばっかりズルイんじゃないの〜?」
しかし恵梨華はグレルに構わずウィリアムに抱きついた。
「いーの!ウィルがいいって言ってるんだもーん♪」
「恵梨華・・!」
声をかけられ、ウィリアムを見た。
恵梨華とウィリアムの顔の距離はわずか数センチ。
そんな至近距離で見つめられ、ウィリアムの顔はどんどん真っ赤になっていった。
「チョット恵梨華!ウィルが困ってるワヨ!」
グレルの言葉を聞くと、恵梨華は慌ててウィリアムから少し離れた。
「ご、ごめんね?!困らせるつもりはなかったの!」
素直に謝る恵梨華。
ウィリアムはグレルの方を少し睨んでいた。
「(グレル・サトクリフ・・・何故邪魔をするんですか・・・!)」
「(ウフッ☆ウィルばっかりにいい思いさせてられないワヨ〜♪)」
恵梨華は二人の考えを知る由もなかった。
「・・・あぁ、二人とも、今日の予定は覚えてますか?」
「えっとー・・・今夜はダンスパーティだったよね・・?」
「あぁんっ☆恵梨華!アタシと一緒に踊りましょうヨ〜♪」
「えー・・・私あのダンス苦手なんだよねー・・・」
それを横で聞いていたウィリアム。
「では、私が指導して差し上げましょうか?」
「チョットウィル!恵梨華はアタシと踊りたいって言ってるじゃな〜い!」
「おや?恵梨華の口からは一言もそのような発言はされてないと思いますが・・・」
バチバチと敵意むき出しの二人。
そんな二人を恵梨華はするりとかわしていく。
「やーだ。私ダンス苦手なんだってばー」
そんな恵梨華に二人は大きくため息をついた。
「(今年こそは私と踊って頂きますよ、恵梨華)」
「(そういって毎年誰とも踊ってないじゃない〜!今年こそはア・タ・シ・と☆)」
恵梨華はそんな二人を置いて、先に任務をする為に窓口へと行ってしまった。
エントランスに残された二人。
「・・・今年こそは私が恵梨華と躍らせて頂きますよ」
「なぁ〜に言ってンのヨ!今年こそはアタシが恵梨華と踊って見せるワ!」
二人は静かに闘志を燃やしていた。