長編夢小説

□君にだけのマゾヒズム
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「・・・・ん・・・・・」





部屋に朝日が差し込む。





恵梨華はその光に誘われ目を覚ました。





ごしごしと目を擦り、そのまま大きく上体をそらし伸びをする。





「もう・・・・・朝か・・」





ちゅんちゅんと小鳥がさえずる。





空気が澄んでいて清々しい朝だった。





恵梨華は深呼吸をし、パッチリと目を開いた。





そして視線を隣に落とす。





「アンダーテイカー、朝だよ」





声をかけるが葬儀屋の反応はない。





スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている葬儀屋。





恵梨華はふわりと微笑むと、その葬儀屋の頬を思いっきり抓った。





「・・・いっ・・!」





葬儀屋は眉を寄せながら目を覚ました。





「おはよう、アンダーテイカー」





恵梨華の声に気付くと葬儀屋は抓られた頬を押さえながらニヤリと口角を上げた。





「ああ、おはよう。恵梨華」





そのまま上半身を起こす葬儀屋。





衣服を身に纏っていないため、葬儀屋の綺麗な肌が露になった。





恵梨華はニヤニヤしながら葬儀屋の上半身を見ていた。





「昨日はあんなにも激しい事をしたのに・・・傷ひとつ残ってないんだね」





「ヒッヒッヒ〜、死神の回復力は凄いからねェ〜?」





昨日の事を思い出したのか、葬儀屋は恍惚とした表情をしていた。





「あぁあ〜〜〜・・・それにしても昨晩は楽しかったねえ〜〜?ヒッヒッ」





口端からはだらしなく涎が垂れ、頬はほんのりと桃色に染まる。





まるで自分の世界に入ってしまったようで。





うっとりとした目で恵梨華を見つめる葬儀屋。





「ぐふふ・・・も〜〜っと酷いコトをしてもいいんだよぉ〜?」





スッと葬儀屋の右手が恵梨華の頬に添えられた。





「恵梨華の愛の証を・・・小生の身体中に刻み込んでおくれ?」





恵梨華はそんな葬儀屋にクスリと笑った。





「考えておくよ。・・・・じゃあ、今日は出かけるから準備して」





甘かったムードはどこへやら。





恵梨華は頬に添えられた手をパシッと払うとベッドから起き上がった。





「ヒッヒッ、相変わらずツレないねェ〜?君はまるで・・・氷のようだ」





「・・・ほら、服着てよ」





恵梨華は脱ぎ捨てられている葬儀屋の服を荒々しく掴むと、ポイッと葬儀屋目掛けて投げ捨てた。





そしてそのまま部屋を後にする恵梨華。





部屋に一人残された葬儀屋は、恵梨華が出ていった扉を愛おしそうに見つめていた。





「・・・・・ま、そんなトコが好きなんだけどね」





ボソリと呟くと、葬儀屋は恵梨華に渡された衣服を着て恵梨華の元へと向かった。





葬儀屋が店の方へ行くと、身支度を済ませた恵梨華が椅子に座っていた。





「遅かったね、死神のくせに」





カウンターをコンコンと爪で突きながら不満そうに眉を寄せている。





「えふぉ・・・・・・も、もしかして・・”お仕置き”してくれるのか〜い?」





不機嫌そうな恵梨華に、葬儀屋はハァハァと息を荒くしていた。





そしてふるふると身体を震わせながら恵梨華の目の前に跪く。





恵梨華は目の前に来た葬儀屋の顎をクイッと持ち上げた。





「お仕置きは今夜たっぷりと・・・ね?」





小悪魔のような笑みを浮かべる恵梨華。





葬儀屋は思わず生唾を飲み込んだ。





「ヒヒッ・・・ヒヒヒッ・・・ああ、今夜が楽しみだねェ〜〜」





上目遣いで満面の笑みを浮かべる葬儀屋。





美しい黄緑色の瞳が色っぽく細められる。





今度は葬儀屋を見下す恵梨華が生唾を飲み込んでいた。





「(このままここでお仕置きを・・・・・い、いや、それは今夜のお楽しみに・・・)」





この場で葬儀屋を襲いたくなる衝動に必死に耐え。





恵梨華は勢いよく立ち上がった。





「さ、さぁ、出かけるよ、アンダーテイカー」





「ヒッヒ・・・今日はどこに出かけるんだ〜い?」





葬儀屋は涎を袖で拭きながら問いかけた。





「シエルのとこに行こうか?朝食を済ませにさ」
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