超短編夢小説T

□優しい悪魔
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【設定】
恵梨華は幼い悪魔。
まだ幼いがセバスチャンと同じ上級悪魔。
あまり人間の魂を食べるのが好きではない。
その為、人間と契約してもその願いを叶えるだけ叶えて魂を食べない事もしばしば。
そんな優しい悪魔。













「ぅ・・・」




長い間魂を食べていなかったため、恵梨華は路地裏で一人、倒れていた。




昼間だというのに薄暗い路地裏。




こんなところに人はあまり近づかない。




誰も倒れている彼女に気づく事はなかった。




そう、”人間”は。











クッキーの材料を買いにアンダーテイカーは街に訪れていた。




その時、微かに悪魔の気配がした。




「(執事君とは違うみたいだけど・・・一体この気配は誰なんだろうねェ?)」




アンダーテイカーは不審に思いながらも、クッキーの材料を買って店に戻った。




暫く店の片付けをしていたのだが、やはり先程の気配が気になっていた。




どこかそわそわした様子のアンダーテイカー。




ガタッ・・・




我慢の限界だったアンダーテイカーはそのまま店を後にした。




アンダーテイカーがその悪魔の気配を辿っていくと・・・。




「っ・・・!」




倒れている恵梨華を見つけた。




悪魔であるにも関わらず、恵梨華の魂は綺麗な色をしていた。




穢れを知らない純粋な魂。




そして長く綺麗な艶々とした黒髪。




まだあどけない顔をしているが、とても可愛らしく美人だった。




アンダーテイカーはゴクリと息を飲んだ。




「(しかし何で悪魔がこんな所に倒れているんだ・・・)」




アンダーテイカーは不思議に思いながらも、恵梨華に興味を持ったのか、そのまま店へ連れて帰った。




「(はぁ・・・この小生が悪魔を助けるとは・・・ねェ?)」




自分の意外な行動に苦笑しながら恵梨華をベットの上にそっと降ろした。




しばらくすると恵梨華が目を覚ました。




「ヒッヒッヒ・・・大丈夫か〜い?」




まだ意識が朦朧としている恵梨華。




しかし不気味なアンダーテイカーを見た途端、目が覚醒した。




「っ・・・!こ、ここは・・・!?」




恵梨華の瞳は綺麗な紅茶色をしていた。




そんな彼女の瞳に魅入られるかのようにアンダーテイカーは恵梨華を見つめていた。




「ここは小生のお店さ」




「あっ・・・死神・・・っ!」




身の危険を感じたのか、アンダーテイカーとの間合いをとった。




「ヒッヒ・・・殺すつもりなら助けたりしないだろ?」




その言葉に安心したのか、恵梨華は力なく床に膝をついた。




「こんなに弱ってるのに・・・あまり無理しちゃいけないよ?」




アンダーテイカーはそっと恵梨華を抱きしめていた。




「ど、どうして・・・?死神にとって私は・・・害獣・・・なんだよね・・?」




「小生にもどうして助けたか分からないのさ」




「・・・」




「でもね・・・君の魂はとても綺麗だよ」




「恵梨華・・・私、恵梨華っていうの」




「恵梨華・・・いい名前だねェ」




ふっと微笑むと、アンダーテイカーは恵梨華の頭を撫でた。




「小生はアンダーテイカー。ここで葬儀屋をやっているんだ」




「アンダー・・・テイカー・・・」




「恵梨華、君はもう長い間、魂を食べていないんだろう?」




図星をつかれ、恵梨華は顔を伏せてしまった。




「私・・・人間の魂を食べるの嫌いなの・・・」




大きな目に大粒の涙をためながら震える声で言った。




「・・・困った子だねェ〜」




少し呆れたように言うアンダーテイカーだったが、その瞳は優しかった。




そして何か思いついたのか、イーヒッヒッヒ・・と笑った。




「一つだけ魂を食べなくてもいい方法があるよ」




「えっ・・・!ほんとぉ!?」




妖しく笑うアンダーテイカー。




そしてそっと恵梨華の唇を奪った。




呆然とする恵梨華を優しく抱きかかえベットに降ろした。




そう、人間の魂を食べなくてもいい方法とは・・・・・。



-END-

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