超短編夢小説T
□クリスマス中止のお知らせ
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【設定】
恵梨華は死神派遣協会回収課のエース。
人一倍気が強い子で、口調はまるで男の子のよう。
髪はグレルと同じ赤色。
顔は誰もが羨む美人さん(本人は気づいていない)。
身長は高すぎず、低すぎず。
「あー・・くっそー、どいつもこいつもイチャイチャしやがってー・・・」
「あァん〜恵梨華、女の子がそんな言葉遣いしちゃだめヨ〜?」
「ケッ」
「折角の美人さんなんだから勿体無いワ〜☆特にこの赤い髪・・・♪」
「グレルは赤が好きなだけだろー。それより何でこんなに街が賑やかなんだよ」
「(全く鈍感な子ネ・・)あらァ〜?知らないの?今日はクリスマスじゃない〜♪」
「人間が考えた行事なんて知るかよ・・・」
そんな会話をしていると、空から無数の白い天使たちが舞い降りた。
「あら・・雪・・・今年はホワイトクリスマスネ☆」
「さみー!グレル〜!さっさと片付けて帰ろうぜ・・」
恵梨華は大げさに体をぶるりと震わせて見せた。
「んもうっ!恵梨華ったら〜、ちょっとはロマンティックになりなさいよネ!」
「はいはーい、どうせ私はそういうのに無縁ですよーだ」
ぷぅっと頬を膨らませ拗ねる恵梨華。
「(そういうところも可愛いから困っちゃうのよネ・・)」
二人が屋根の上で会話していると、突然そこにアンダーテイカーが現れた。
「おやおや、恵梨華の気配がしたから来たのに・・・赤い死神君も一緒なのかい」
アンダーテイカーに気づいた二人はその姿を見て驚いた。
「ぷっ!アンダーテイカー、何その格好ー!」
思わず吹きだす恵梨華。
それもそのはず、アンダーテイカーはいつもの葬儀屋の服にサンタの帽子を被っていた。
「ん〜?恵梨華は知らないのかい?今日はクリスマスだからねェ」
「でも葬儀屋の服にその帽子は似合わないわネ〜」
「ヒーッヒッヒ・・・Trick or Treat!」
「ちょっとォ〜!それハロウィンじゃない〜!」
「はぁ・・・死神が何やってんだかー」
恵梨華は呆れたようにぼそりと呟いた。
そんな恵梨華の元に一瞬で近づき、抱き寄せるアンダーテイカー。
「さあ、小生のお姫様?今夜は小生と二人きりで甘い聖夜を過ごそうねェ」
「なっ・・・!ば、ばか!触んじゃねーよ!」
慌ててぺしっとアンダーテイカーの手を叩いて距離を取る恵梨華。
少しだけ桃色に染まった頬。
「ヒッヒ・・照れてるのか〜い?」
にやりと怪しい笑みを浮かべるアンダーテイカー。
恵梨華が答えられず固まっているとすかさずグレルが間に入る。
「ちょっとォ〜!アタシの恵梨華を取らないでよネ!」
「まだ君のって決まったわけじゃないんだろ〜?」
二人で恵梨華の取り合いをしていた。
そのあまりにも幼稚な喧嘩の内容に恵梨華はいい加減腹が立ってきた。
「お前らなー!いい加減にしなよ!私はどっちのものでもないっ!」
眉を寄せ少し怒った様子の恵梨華。
そんな恵梨華を見て、二人はシュンと落ち込んだ。
落ち込んだ二人を見て、ちょっと言い過ぎたかなと思い、気まずくなりその場に座った。
その瞬間、二人は顔を見合わせニヤリと笑うと、恵梨華を包み込むように両側から抱きしめた。
「ちょ・・・!お、お前ら元気じゃねーか!」
「いいじゃな〜い?今日は特別な日、クリスマスなんだから☆」
「ヒッヒ・・・そうだねェ」
アンダーテイカーはそっと自分の帽子を取り、ぽふりと恵梨華にかぶせた。
「「Merry Christmas、恵梨華」」
二人は恵梨華の両頬にそっと口付けをした。
-END-