超短編夢小説T

□人生最後の晴れ舞台
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「さあ、次のお客さんがきたよ。可愛がってあげようかねェ」





先程からUnder takerに次々と運ばれてくる”お客さん”。





アンダーテイカーは朝から大忙しだった。





「おやおや、内臓がこんなにも・・・今綺麗にしてあげるよぉ」





楽しそうに歌いながら手を洗い準備をしていた。





「楽しい楽しい葬儀屋さ〜ん♪イーッヒッヒ・・」





楽しそうにしているアンダーテイカーとは対称的に恵梨華は不機嫌オーラを纏っていた。





カウンターに肘をつき、ムスッと拗ねたような顔でアンダーテイカーを見つめる。





そんな恵梨華に気がついたアンダーテイカー。





「ん〜?恵梨華、どうしたんだい?」





いつもより機嫌がいいその声色に恵梨華は眉を寄せた。





「・・・別に」





楽しそうなアンダーテイカーを見ていられなくなり、視線をそらしながら言った。





するとアンダーテイカーは恵梨華の顎を持ち上げ自分の方を無理矢理向かせた。





「別にじゃないだろう?ほら、小生に話してごらん?」





「何でもないよ。ただアンダーテイカーはお客さんを相手にしてる時すごく楽しそうだなって」





「ヒッヒッヒ・・・だってゾクゾクするじゃないか・・・恵梨華も見てごらん?」





「ド変態」





自分を抱きしめるように肩を抱いて震えてるアンダーテイカーを冷たい眼差しで見た。





「もういいよ・・・早く”お客さん”を綺麗にしてあげなよ」





「おやぁ?イーッヒッヒ・・恵梨華・・・まさか・・」





アンダーテイカーは満面の笑みを浮かべた。





「お客さんに”嫉妬”しているのかい?」





アンダーテイカーのその言葉に恵梨華は目を見開いた。





「(私・・・嫉妬してたんだ・・・)」





顔が熱くなっていくのが分かる。





「(あ、相手は死体だぞ!しっかりするんだ・・・!恵梨華!)」





まるで自分に言い聞かせるように呪文のように頭の中で唱える恵梨華。





「別に妬いてないよ?」





平静を装って反論する恵梨華。





しかしアンダーテイカーにはバレバレだった。





「ヒッヒッヒ・・・まぁ小生にとっては嬉しい限りだけどねェ」





「だから妬いてないってば!」





フイッとそっぽを向いてしまった恵梨華。





そして暫く考え込み、悲しそうに呟いた。





「私が死んだら・・・他の”お客さん”と同じように可愛がってくれる・・・?」





「何言ってんだい!縁起でもない事言うんじゃないよ!」





店内にアンダーテイカーの怒鳴り声が響いた。





背中越しに伝わってくるアンダーテイカーの怒りにビクリと肩を震わせた。





嫌な汗が流れる。





恵梨華は恐ろしくてアンダーテイカーの方を振り向けないでいた。





店内に緊迫した空気が流れる。





ゴクリ・・・





恵梨華は静かに息を飲んだ。





先程から無言のアンダーテイカー。





恵梨華は耐え切れなくなり、後ろを振り向こうとした。





その瞬間、アンダーテイカーに後ろから抱きしめられた。





−ポタッ





「(え・・・?)」





恵梨華の首筋に生ぬるい感覚。





それはアンダーテイカーの涙だった。





「そん・・な・・・事・・・・もう・・・・・言わな・・・いで・・・・・・おくれ・・・?」





途切れ途切れの言葉。





まるで泣いているのを悟られまいとしているよう。





「ごめんなさい・・・」





恵梨華は罪悪感でいっぱいだった。





俯いているとアンダーテイカーに頭を撫でられた。





「もう・・・いいよ。でもこれだけは約束しておくれ・・?」





くるりと恵梨華を振り向かせ、自分の方を向かせた。





「もう二度と・・・死んだら・・なんて言うんじゃないよ?」





「うん・・・」





そしてどちらからともなく二人は唇を重ねた。





永遠に傍にいる約束の・・・”誓いの口付け”。



-END-

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