超短編夢小説T

□痛いの
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「ほら、恵梨華。小生特製のクッキーが焼きあがったよ」





「わーい!お茶にしようねっ!ね!」





子供のように無邪気にはしゃぐ恵梨華。





アンダーテイカーはそんな恵梨華を暖かい眼差しで見ていた。





棺桶に座り、足をばたばたと動かしている恵梨華。





「おやおや・・・そんなに急がなくてもクッキーは逃げないよぉ?ヒッヒッヒ・・」





「だってアンダーテイカーのクッキー好きなんだもん!あと紅茶も!」





「ヒッヒッヒ・・・でもちゃ〜んと手を洗ってから食べようねェ?」





「はーい」





恵梨華は口を尖らせながら手を洗いに行った。





「いっ・・・!」





「どうしたんだい?」





恵梨華の声にアンダーテイカーが心配そうにかけつけた。





「い・・・たい・・・・・」





恵梨華は両手をぷるぷると震わせながら痛みに耐えていた。





「見せてごらん?・・・これは・・・あかぎれだねェ。こんなになるまで何でほっといたんだい?」





アンダーテイカーは恵梨華の手を優しく拭きながら言った。





「うー・・・だってー・・・」





「血まで出てるじゃないか・・・悪い子だ」





アンダーテイカーの目が怪しく光る。





いつもの優しい瞳ではなく、怒りを含んだような鋭い瞳。





身の危険を感じた恵梨華は、少しずつ後ずさりした。





しかしアンダーテイカーからは逃げられない。





じりじりと壁際まで追い詰められた。





「どうして逃げるんだい?悪い子には当然お仕置きをしなきゃいけないよ?」





”お仕置き”という言葉に恐怖を感じた。





実験体にされる?殺される?嫌な考えが恵梨華の頭の中をよぎる。





真冬だと言うのに嫌な汗が流れた。





「ほら・・・手を出してごらん」





恐怖で体が震える。





しかし見つめてくるアンダーテイカーの目が怖い。





逆らえば何をされるか分からない。





恵梨華は仕方なくそっと手を差し出した。





アンダーテイカーは恵梨華の手を握ると、目の前に跪いた。





そして突然手の甲に唇を落とした。





「さあ・・・お仕置きの始まりさ」





そのまま舌を出しぺろぺろと舐めだした。





「いっ・・・ん・・・」





ぴりぴりとしみるような感覚。





それと同時にぞくぞくとした快感が押し寄せる。





わざと血が出ているところを執拗に舐めるアンダーテイカー。





恵梨華の反応を見ながら楽しんでいた。





「ヒッヒッヒ・・・お仕置きなのにそんな顔して・・・小生を誘っているのかい?」





「ち、ちがっ・・・んっ・・・!」





痛みと同時にくるじれったい感覚にどんどん息が荒くなっていく。





ちゅ・・・くちゅ・・・





いやらしい音を立てながら恵梨華を上目遣いで見つめるアンダーテイカー。





恵梨華は何も考えられなくなっていた。





立っている事も出来なくなり、その場に座り込んだ。





「おやおや・・・そんなによかったかい?」





耳まで真っ赤にしながら俯く事しか出来なかった。





「ヒッヒ・・・ほら、見てごらん?」





アンダーテイカーは恵梨華の手を指差した。





「あ・・・れ・・・?治ってる・・・」





「死神の唾液だからねェ・・?治癒力が高いのさ」





「そ、そうなんだ・・・」





「もうあんなになるまでほっといちゃダメだよ?次は手だけじゃ済まないからねェ・・?」





妖しい笑みを浮かべるアンダーテイカー。





恵梨華は静かに息を呑んだ。





「さぁて・・・お茶にしようか」





「・・・うん!」





アンダーテイカーは恵梨華を抱きかかえるとそのまま店へと消えていった。



-END-

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