短編夢小説U

□赤と黄緑、黒と銀U
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「ねぇ、アンダーテイカー」





恵梨華はカウンターの椅子に腰掛け人体模型を磨くアンダーテイカーに声をかけた。





「ん〜?なんだい?」





アンダーテイカーは手を止め恵梨華の方を向いた。





「おんぶして?」





「ブフッ!」





おもわず噴き出すアンダーテイカー。





その唾が恵梨華のところにまで飛んでくる。





恵梨華は不機嫌そうに眉を寄せた。





「・・・してくれないとその魂喰らっちゃうよ?」





恵梨華の瞳が真っ赤に輝きだす。





アンダーテイカーは恵梨華のその悪魔の瞳に魅入られていた。





「あぁあ〜〜いいねェ。その瞳・・・ぞくぞくするよぉ〜〜〜!」





「・・・ド変態」





「永遠に恵梨華の中に・・・いいねェ〜、それも悪くないよぉ〜?ヒッヒッヒッ」





恵梨華の頬がカァッと赤くなっていった。





アンダーテイカーにそれを悟られないように顔をそらす恵梨華。





「い、いいから早くおんぶして!」





耳まで真っ赤になっていて、アンダーテイカーには全てお見通しだった。





それでも必死に隠そうとしている恵梨華をアンダーテイカーは愛おしそうに見つめていた。





その綺麗な瞳が優しく細められる。





「ヒヒヒッ・・・さあ、お乗りよ?」





アンダーテイカーが背中を向けると、恵梨華はぴょんっと飛び乗った。





「(アンダーテイカーの背中・・・落ち着くなぁ・・・)」





瞼が段々重くなってくる。





あと少しで眠りに落ちそうになった時、アンダーテイカーの笑い声が耳に入ってきた。





「ヒーッヒッヒ・・・気持ちいいか〜い?恵梨華ちゃ〜ん。ぐふっ」





一気に覚醒していく脳。





恵梨華は恥ずかしくて内心苦笑いをしていた。





「こ、今度は肩車して!」





苦し紛れに発した言葉。





その言葉を聞いた途端、アンダーテイカーの身体がプルプルと震えだした。





そして耐え切れなくなったのか、その場に崩れ落ちる。





恵梨華は慌ててアンダーテイカーから離れた。





「ぎゃーっはっはっはっはっはっははは!君はいつまで経っても子供だねぇ!」





唾を飛ばしながら、お腹を抱えて大爆笑。





恵梨華はそんなアンダーテイカーの態度に眉を寄せた。





「たまたまそういう気分だっただけだし!そんなに笑わなくてもいいじゃん・・・」





「ぐふっ・・・小生とそんなに変わらないだろう?悪魔は成長しないのかねェ〜?ヒッヒッ」





「う、うるさいよ!い、いいから早くして!」





アンダーテイカーはニヤニヤしながら柩に腰掛けた。





恵梨華は柩の上に立つと、アンダーテイカーの肩に座った。





「いいかい?しっかり掴まっているんだよ?」





その言葉に恵梨華は、アンダーテイカーの帽子をポイッと捨て、髪の毛を掴んだ。





「いたたた・・・・髪を掴むなんてひどいじゃないか・・・」





「ふふ・・・さっき私をバカにした罰だよ!ほら・・・早く立って・・・!」





アンダーテイカーは少し拗ねたように口を尖らせながら、ゆっくりと立ち上がった。





ふわっと身体が宙に浮くような感覚。





そして一気に視界が高くなった。





「・・・わぁ!すごい・・・!景色が全然違うよアンダーテイカー!」





普段見ている店内だが、上からの目線だとまるで別の場所のように感じる。





恵梨華はその紅の瞳を輝かせながら子供のようにはしゃいでいた。





「ヒッヒッヒ・・・面白いか〜い?」





喜んでいる恵梨華に満足したのか、アンダーテイカーも楽しそうだった。





恵梨華を肩車したままゆっくりと店内を歩き回る。





とても長年生きてきた死神と悪魔とは思えない光景だった。





そんな時、突然店の扉が開かれた。





「いるか?アンダーテイカー」





ピタリ、と固まる恵梨華とアンダーテイカー。





シエルとセバスチャンは二人を見つけると、口をぽっかりあけていた。





「お、お前たち・・・一体何をやっているんだ?」





シエルの言葉に我に返った恵梨華。
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