短編夢小説U

□両手に花
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ドSなアンダーテイカーもドMなアンダーテイカーも甲乙付け難い。
そんな時に思いついたネタです。
真面目な小説ではないので、そういうのが苦手な方は閲覧をお控え下さい。

ややこしくなるので、
ドSのアンダーテイカー・・・葬儀屋
ドMのアンダーテイカー・・・アンダーテイカー
と、表記を分けたいと思います。


























「ああ・・・困ったねェ・・・」





「ヒッヒ・・・恵梨華の反応が愉しみじゃないか」





顔を見合わせるアンダーテイカーと葬儀屋。





まるで鏡を見ているようだった。





ひょんな事から二つに分裂してしまったのだ。





一人の死神が二つになった。





どうしようかと困り果てているアンダーテイカー。





この状況を楽しんでいる葬儀屋。





姿かたちは同じなのに、二人の性格は若干違っていた。





「ぐふっ・・・早速恵梨華を起こしに行こうか」





「ま、待っておくれよ・・・いきなり二人の小生を見たら、恵梨華がびっくりしてしまうだろう?」





「ヒッヒ・・いいねェ。恵梨華の困った顔が早く見たいよ」





アンダーテイカーの制止も虚しく、葬儀屋は恵梨華の部屋へと向かった。





「恵梨華?ねぇ、起きてよ恵梨華」





眠っている恵梨華の上に跨り、枕に両手を付き見下ろす葬儀屋。





アンダーテイカーは少しため息をつきながらベッドのふちに座った。





「まったく・・・君は本当に小生なのかい?小生はそんなに乱暴じゃあないよ」





「ヒヒヒッ・・・本当はこうしたいと思っているんだろう?素直におなりよ」





「なっ・・・!」





アンダーテイカーの頬が桃色に染まった。





葬儀屋はアンダーテイカーを冷たい瞳で見ながらニタリと笑っていた。





そんな時、恵梨華の眉がピクリと動いた。





「ヒッヒッ、やっとお目覚めか〜い?ほら・・・早く目を開けてよ」





「あれ・・・アンダーテイカー・・・?」





ぼんやりとした視界に映る二つの銀色。





「(ん・・・?二つ・・・?)」





寝惚けた頭で考える。





徐々に脳は活性化されていき、恵梨華は目をごしごし擦った。





「えっ・・・!?」





あいた口が塞がらなかった。





目の前に、二人の恋人。





一人は恵梨華の顔を見て大爆笑をしている。





もう一人は少し困ったような表情でこちらを見つめていた。





「ぶっひゃっはははっはっは!イーッヒッヒッ!」





「え・・・ど、どういう事・・?」





「いつまで笑っているんだい!?恵梨華が困っているだろう!?」





「ぐふ・・・こんなに可笑しいのにどうして笑わないんだ〜い?ヒッヒッ」





恵梨華の頭はますます混乱していった。





昨日まで一人だった恋人が二人になっていて、その二人が喧嘩を始めたのだ。





「ヒ〜ッヒッヒッ、恵梨華も笑ってしまうだろう?」





「い、一体何がどうなってるの・・?」





「実はね恵梨華・・・小生にも分からないんだ」





深刻な顔で優しく恵梨華の頭を撫でるアンダーテイカー。





「簡単なコトさ。目が覚めたらこうなっていたんだよ・・・ヒッヒッ」





何事もなかったかのようにケラケラと笑っている葬儀屋。





恵梨華の頭の中にひとつの疑問が浮かんだ。





「ところで・・・私が今まで付き合ってたのは・・どっちなの?」





恵梨華の言葉に二人がピクリと反応した。





「勿論小生に決まっているだろう?」





葬儀屋は不敵な笑みを浮かべた。





自信たっぷりのその挑発的な笑みに恵梨華は思わず頬を染めた。





しかし、横から焦ったようにアンダーテイカーが恵梨華の服の袖を引っ張った。





「恵梨華、騙されてはいけないよ?!」





必死に恵梨華の袖を握り締めるアンダーテイカー。





そんなアンダーテイカーに恵梨華はキュンとしてしまう。





「みっともない真似はお止めよ。仮にも君はもう一人の小生なんだろう?」





「みっともないとはなんだい・・・!大体、君が小生の恵梨華を奪おうとするからいけないんだろう!?」
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