超短編夢小説U

□いじめないで
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「ナ・・・・ナニよ・・・・!」





じりじりと壁際に追い詰められていくグレル。





「ヒッヒッヒ〜・・・別に君に恨みはないんだけどねェ〜?」





身の丈よりも大きな死神の鎌を両手で握る葬儀屋。





三日月のように歪められた唇。





「グレル・・・観念しなさい・・・!」





葬儀屋のコートからひょっこりと恵梨華が顔を出した。





「チョ、チョット恵梨華・・・!葬儀屋さんを止めて頂戴・・・!」





「おや?止めるのは葬儀屋さんだけでよろしいのでしょうか?」





シルバーのナイフをいくつも指に挟んでいるセバスチャン。





その隣で腕を組む小さな主人、シエル・ファントムハイヴ。





「ア、アンタたち・・・一体アタシがナニをしたっていうのヨ・・・ッ!」





「おやおや・・・知らないとは言わせないよぉ〜?」





「そうですよ、グレルさん」





不気味に笑う悪魔と死神。





ゾクッと寒気にも似たものが背筋を走った。





冷や汗をかきながら、必死に自分のデスサイズを握り締めるグレル。





「フンッ、随分と動揺してるみたいじゃないか。手が震えているぞ?」





シエルは勝ち誇った笑みを浮かべた。





「ふふ・・・坊ちゃん、あまり本当の事を言われますと・・・グレルさんが可哀相ですよ?」





ケラケラと嘲笑いながらセバスチャンが言った。





「ま、待ちなさいヨ・・・!本当にアタシ・・・ナニもしてないワヨ・・・!」





呼吸を乱しながら必死に訴えるグレル。





「イーッヒッヒッ!今更命乞いか〜い?・・・情けないねェ・・・」





「そうよ・・・!男なら男らしく潔くしなさい・・・!」





言いながらもじりじりと間合いを詰めていく。





「さあ・・・ハンティングの始まりだよ」





「どちらがあの哀れな兎を先に狩るか・・・勝負しますか?」





「おー?・・ヒッヒ・・・小生に勝負を挑むなんて・・・随分と自信があるんだねェ〜?執事くん」





二人は目を合わせるとニヤッとした。





グレルはその恐怖の光景にゴクリッと息を呑んだ。





「・・・・・わかったワ・・・でも最後に・・・理由ぐらい教えなさいヨ」





全員の視線がグレルに注がれた。





「それはね・・・」

「それは・・・」





次の瞬間、グレルの叫び声が響いた。



-END-

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