超短編夢小説U

□手品?魔法?いいえ、死神の力です
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「やっほー、アンダーテイカー。遊びに来てあげたよ」





扉からスタスタと歩き、棺にどっかり腰掛ける恵梨華。





「ヒッヒッヒ〜、最近よく遊びに来てくれるねぇ〜?」





ニヤニヤとしながら恵梨華の隣に腰掛ける葬儀屋。





「まさか・・・小生に惚れちゃったかい?」





恵梨華の長い黒髪に口付けをしながら囁く。





その低く甘い声にドキッとしてしまう。





「そ、そんな訳ないでしょ!?」





ときめいてしまった自分を否定するかのように強く言う恵梨華。





葬儀屋はそんな恵梨華の反応を面白がるように見ていた。





「ヒ〜ッヒッヒッ、相変わらず君をからかっていると面白いよ」





悪びれる様子もなくケラケラと笑っていた。





「相変わらず悪趣味だね・・・!」





怒りに満ちた瞳でギロリと葬儀屋を睨みつける。





しかし葬儀屋には効果がないようで、ヘラヘラと笑っているだけだった。





「さ〜て、今日は何をして遊ぼうか?」





「今日こそは・・・勝ってみせるよ!」





拳を握り、やる気に満ちている恵梨華。





「おおー?無駄なやる気っていうのは若さの特権だね」





意味深な含み笑いを浮かべる。





「む、無駄って何よー!」





思わずコートに掴みかかる恵梨華。





上質な素材を使っているのか、思ったよりも柔らかい感触だった。





「君がいくらやる気を出したって・・・小生には勝てないさ。ぐふふっ・・」





「・・・勝負は・・・時の運だよ・・ッ!」





恵梨華はおもむろにポケットから五つのサイコロを取り出し床に投げつけた。





出た目は”六・六・五・六・五”。





恵梨華はニヤリと笑った。





「ほーら、いい数字が出たよ。今回は私の勝ちみたいだね」





してやった、という表情を浮かべる恵梨華。





そんな恵梨華を見ると、葬儀屋はフッとその口端を吊り上げた。





「さ〜て、それはどうかな?」





細くて綺麗な指の隙間からサイコロが零れ落ちる。





恵梨華は少しドキドキしながらサイコロを見つめた。





カランッ・・・コロン・・・





サイコロが止まった瞬間、恵梨華は目を見開いて驚いていた。





「ヒ〜ッヒッヒッ、だから言っただろう?君は小生に勝てない・・・とね」





何度見返してもサイコロの目は全て”六”。





いい数字を出して勝利を確信していただけに、ショックは大きかった。





思わず床に崩れ落ちる恵梨華。





「さ、今日は何をしてもらおうかねぇ〜?ヒヒヒッ」





床に崩れ落ちている恵梨華をニヤニヤしながら見ている葬儀屋。





まるでこの状況を楽しんでいるかのよう。





恵梨華は悔しくて葬儀屋の顔を見ることが出来なかった。





「イーッヒッヒ・・さ〜〜て、恵梨華〜?」





不気味な笑みでゆっくりと恵梨華に近づく葬儀屋。





「覚悟しておくれよ?」



-END-

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