超短編夢小説U

□箱の中に閉じ込められた二人
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―ツンツン





不思議そうな表情で首を傾げながらテレビの画面を突付く葬儀屋。





「伯爵〜?執事く〜ん?」





画面に映し出されていたのは黒執事のアニメだった。





ツンツンと突付きながら、テレビに話しかける葬儀屋。





恵梨華はそんな葬儀屋を見て、苦しそうにベッドに突っ伏した。





「(可愛い・・・可愛すぎるよアンダーテイカー・・・!)」





バフバフとベッドを叩きながら悶え苦しむ。





葬儀屋は何事かと思い、恵梨華に声をかけた。





「恵梨華・・?一体どうしたんだい?」





「ハァ・・・ハァ・・・な、なんでも・・・ないよ・・・!」





平静を装っているが、明らかに息が荒い。





葬儀屋はそんな恵梨華の服をキュッキュッと引っ張った。





「それより恵梨華・・・この箱の中に伯爵と執事クンが閉じ込められているんだ」





「ブッ・・・!テ、テイカー・・・それはね、テレビっていうんだよ」





必死に笑いを堪えながら説明する恵梨華。





「へぇ・・・これはアニメっていうんだね。ところで・・・」





葬儀屋は恵梨華に近づくと後ろからギュッと抱きしめた。





そして恵梨華の耳元に唇を寄せる。





「このアニメ・・・小生は出て来ないのかい?」





あまりにもいい声で囁く葬儀屋。





熱い吐息が恵梨華の耳にかかる。





恵梨華はビクッと身体を震わせると、固まってしまった。





いつまで経っても質問に答えない恵梨華に、葬儀屋は更に声をかける。





「恵梨華〜?どうしたんだ〜い?」





相変わらず耳元で囁いている葬儀屋。





恵梨華は思わず振り返りながら耳を押さえた。





「そ、そんないい声で囁かないでください・・・!」





恥ずかしそうに視線をそらした。





そんな恵梨華に、葬儀屋は満足そうな笑みを浮かべていた。





「ヒッヒッヒ・・そ〜んなに小生はいい声か〜い?」





舐めるように恵梨華をまじまじと見る葬儀屋。





恵梨華は大きく深呼吸をした。





「いい声なの!イケメンなの!ちょっとは自覚して自重してください!!」





案の定、言われた葬儀屋はポカーンと間抜けな顔をしていた。





そんな顔すらも美しい。





「ヒッヒッヒ・・でもねぇ〜?小生は君の恋人なんだろ〜う?」





「っ・・・!///」





自ら恋人になって欲しいと志願した恵梨華。





今更になってその現実が恥ずかしく思えてくる。





恥ずかしくて何が何だか分からなくなった恵梨華は、思わず布団に潜り込んだ。





「い、言わないでよ・・・バカ・・!」





すると葬儀屋は何かを思いついたのか、意味深な含み笑いを浮かべた。





「ぐふっ・・・恵梨華から誘ってくれるなんて思わなかったよ」





するりと布団の中に手を忍ばせる葬儀屋。





葬儀屋の指が恵梨華の身体にそっと触れた。





ピクッと恵梨華の身体が硬直する。





「さ、誘うって何・・・!?」





「だ〜ってそうだろう?ベッドの中に入るというコトは・・・」





手で触るだけでは満足出来なくなった葬儀屋は布団の中に潜り込んだ。





そして恵梨華を抱きしめる。





「さ・・・愛し合おうか?ヒッヒッ」



-END-

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