短編夢小説V

□葬儀屋の適応力
1ページ/2ページ

「アンダーテイカー・・・暇ぁー・・・」





「確かに暇だねェ・・・」





休日、特に出かける予定もなく、だらだらとしている二人。





のんびりとした時間が過ぎていく。





「ん〜・・・何かゲームでもやろうか?」





もそもそと動き出す恵梨華。





葬儀屋はぐったりと横たわりながら、そんな恵梨華を目で追っていた。





「ヒッヒ・・・今日はどんなゲームをするんだ〜い?」





ニィッと口角が上がっていく。





葬儀屋にとって、この世界のゲームは未だに不思議なものだった。





「それじゃあ・・・今日はこの対戦ゲームで遊ぼうか・・!」





―ててーん♪





そんな効果音がどこからか聞こえてきそうなポージングをする恵梨華。





「ぐふふ・・・面白そうだねぇ?」





葬儀屋もやる気になったのか、すくっと起き上がった。





そして当たり前のように恵梨華の隣に腰を下ろした。





「ふふふ・・・恵梨華、このゲーム得意なんだよ?」





「おー?随分な自信だねえ〜?ヒヒッ」





「まぁね・・!コレは一度も負けたことがないからね!」





ニカッと笑う恵梨華に葬儀屋は挑発的な笑みを浮かべた。





「ヒッヒ・・・それなら今日が初めての敗北だね」





「わ、私がテイカーに負けるとでも・・!?」





挑発的な葬儀屋に、恵梨華はグイッと身を乗り出して反論した。





「そんなに自信があるなら・・・何かを賭けて勝負しようか?ヒッヒッ」





「いいねぇ・・・それなら、ポッキーゲームなんてどう?」





「ん〜?なんだい?そのポッキーゲームって言うのは・・・」





葬儀屋は聞き慣れないその言葉に首を傾げた。





「一種の罰ゲームみたいなものだよ。負けた人は勝った人の口に銜えたポッキーを食べるの!」





恵梨華はお菓子箱からポッキーを取り出すと、それを葬儀屋に見せ付けた。





「・・・それ、罰ゲームなのかい?」





「・・・・・さ、さぁ、それよりゲームをしようよ!」





痛いところを突かれ、少し慌てる恵梨華。





無論、ポッキーゲームは罰ゲームなどではない。





恵梨華はただ葬儀屋とポッキーゲームがやりたいだけだった。





その気持ちを悟られないように、必死に隠そうとする恵梨華。





しかし少し慌てた事により、察しのいい葬儀屋はすぐに勘付いてしまった。





「(ぐふふ・・相変わらず君は嘘が下手だねェ〜?ま、そ〜んなトコが可愛いんだけどね)」





恵梨華の顔をまじまじと見ながらニヤニヤしている葬儀屋。





そんな葬儀屋の視線に、恵梨華は気まずそうに顔をそらした。





「よ、よし!ま、負けないよ!」





「ヒ〜ッヒッヒッ、さ〜て?勝利の女神はどちらに微笑むかな?」





ゲームのスイッチを入れ、テレビの画面が切り替わる。





戦いは白熱したものだった。





恵梨華はさすがに得意だと言っただけあって、そのゲームの腕前は相当なものだった。





しかし、初めてプレイするにも関わらず、葬儀屋の腕前は恵梨華を遥かに超えていた。





「ほらほら、次の一撃で勝負が決まってしまうよォ〜?ヒッヒッ」





「や・・・・待って・・・ッ!」





結果は惨敗だった。





負けた事がないゲームでの一方的なゲーム展開。





恵梨華のプライドはズタズタになっていた。





「そ・・・そんな・・・・」





ガクッと肩を落とす恵梨華。





ズーンと暗い空気に包まれる。





「イ〜〜ッヒッヒッ!」





一方、勝者の葬儀屋は楽しそうに高笑いしていた。





同じ部屋にいるのに二人の温度差は相当なものだった。





「―さぁ〜て・・・」





勝利の余韻に浸っていた葬儀屋が、恵梨華の肩にポンッと手を置いた。





恵梨華はビクッと敏感に反応した。





そんな恵梨華の反応を楽しみながら、葬儀屋は恵梨華の耳元に唇を寄せた。





そして甘く低い声で囁く。





「罰ゲームのお時間だよ?恵梨華・・・ヒッヒッ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ