短編夢小説V

□サディストのプライドT
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「恵梨華、恵梨華・・・・アレはなんだい?」





葬儀屋と恵梨華は二人で遊園地に遊びに来ていた。





ある程度乗り物にも乗って、今は休憩の為にベンチに座りアイスクリームを食べていた。





「ん〜?」





恵梨華はアイスを舐めながら、葬儀屋が指差す方を向いた。





「ッ・・・・・」





葬儀屋が指差す建物を見た途端、恵梨華の動きがピタリと止まる。





そして顔からサーッと血の気が引いていった。





「おやぁ〜・・?恵梨華?顔色が悪いようだけど・・・」





急に動かなくなった恵梨華を少し心配する葬儀屋。





恵梨華は悟られないように無理矢理ニッと笑ってみせた。





「な、何でもないよ・・!あれはね、”お化け屋敷”だよ」





「へぇ・・・本当にお化けが出てくるのか〜い?ヒッヒッ」





そういうものが大好きな葬儀屋は興味津々の様子だった。





恵梨華は少し苦笑いしながら葬儀屋から視線をそらした。





「まさか・・・・ただの偽物だよ」





少しでも葬儀屋の興味をお化け屋敷からそらしたい恵梨華。





しかしそんな恵梨華の願いは叶うはずもなかった。





「偽物なのは残念だけど・・・面白そうだねェ?」





ますます目を輝かせる葬儀屋。





恵梨華はドキドキしながら静かに息を呑んだ。





「そ、そうかな・・?あぁ、それよりあっちの乗り物に乗ろうよ」





グイッと葬儀屋の服を引っ張る恵梨華。





葬儀屋はそんな恵梨華を見ると、ニィッと不気味な笑みを浮かべた。





「ヒッヒッヒ・・・まさか、アレが怖いのか〜い?」





「ッ・・・・!」





図星を言われ、恵梨華は驚いたように目を見開いていた。





「そ、そんな訳ないでしょ!?」





勿論、強がりである。





そんな恵梨華をますますからかいたくなった葬儀屋は恵梨華の手を掴んで立ち上がった。





「なら、行こうか?・・ヒッヒ・・・本当に怖くないなら行ってもいいだろ〜う?」





こうなっては引くに引けない恵梨華。





静かに深呼吸をし、覚悟を決めたように立ち上がった。





「いいよ・・・!」





こうして二人はお化け屋敷に行く事になった。
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