超短編夢小説V

□美味しいところで現れる王子様
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「おや?恵梨華さん・・・顔色がよろしくありませんね」





心配そうな表情を浮かべるセバスチャン。





その裏に隠れた怪しい笑みを悟られぬように―。





「なんか・・・・頭がぼーっとして・・」





フラフラとした足取りでベッドに向かう恵梨華。





ぽすっとベッドのふちに腰掛けると、虚ろな瞳でセバスチャンを見る。





「坊ちゃんの許可も得ております、今夜はこちらでゆっくりおやすみ下さい」





「ありが・・・とぉ・・・・・」





恵梨華の息はどんどん上がっていった。





苦しそうに心臓のあたりを握り締める恵梨華。





「顔が赤いですね・・・熱がおありですか?」





そっと恵梨華のおでこに手を当てるセバスチャン。





セバスチャンの手が触れた瞬間、恵梨華の身体はピクリと反応した。





「っ・・・・ぁ・・・・!」





思わず零れる遠慮がちな声。





そんな恵梨華の反応を見て、セバスチャンはニヤリと悪魔笑いを浮かべた。





「おや?どうされたんですか?」





「はぁ・・・・はぁ・・・・な、なんでも・・・・・・ないよ・・///」





恥ずかしさからか、フイッとセバスチャンから顔を背ける恵梨華。





勿論、セバスチャンがそれを許すはずがなかった。





恵梨華の頬に手を添えると、無理矢理自分の方を向かせた。





「強がりは・・・いけませんよ?クスッ」





ひんやりとした手袋の感触が恵梨華の理性をどんどん崩していく。





「セバス・・・・・チャ・・・ン・・・」





「さぁ、素直になって・・・・本当は欲しくて堪らないんでしょう?」





スッと恵梨華の太ももを撫でると、恵梨華の身体はビクビクと反応していく。





「ひっ・・・・・ぁあッ・・!」





まるで身体中に電気が走るような感覚。





身体はどんどん熱く、そして敏感になっていく。





恵梨華は呼吸を荒くしながら苦しそうに身体をよじった。





「あぁ、美しい・・・・・貴方は私をどこまで狂わせれば気が済むんですか・・?」





うっとりとした瞳で恵梨華を見つめるセバスチャン。





「貴方が望むなら・・・私は何でも致しますよ?」





まるでそれは悪魔の囁き。





今の恵梨華に、その言葉から逃れる術はなかった。





「ッ・・・・はぁ・・・セバスチャン・・・・・おねがい・・・」





”欲しいの”





恵梨華が言おうとしたその時だった。





「ヒッヒッヒ・・・」





聞き慣れた愛しい人の笑い声。





恵梨華とセバスチャンは声のする方へと振り向いた。





「・・・もう嗅ぎつけてきたんですね」





葬儀屋の姿を見た途端、セバスチャンは嫌悪感むき出しで眉をピクリと動かした。





「ヒッヒ・・・小生のだ〜〜いじな姫を救いにきただけさ」





次の瞬間、恵梨華は葬儀屋の腕の中にいた。





「アンダーテイカー・・・」





一瞬でもセバスチャンの誘惑に耐えられなかった恵梨華は、罪悪感で葬儀屋の顔が見れずにいた。





そんな恵梨華の心情を悟ったのか、葬儀屋は優しく恵梨華の頬に触れた。





「可哀相に・・・薬を盛られたんだね・・・」





どこまでも優しい声色に安心した恵梨華はそっと葬儀屋の顔を見た。





美しい銀色の隙間から見える優しい黄緑色の瞳。





「よくがんばったね、恵梨華・・・・・・それじゃあ、そろそろ帰ろうか?」





そう言うと葬儀屋はスッとセバスチャンに背を向けた。





コツコツと独特の靴音を鳴らしながら扉へと歩いていく葬儀屋。





そして扉の前でピタリと止まった。





「ああ、言い忘れていたよ執事クン」





「・・・・・・なんでしょうか?」





「今度この子に手を出したら・・・・・・狩るよ?」





ギラギラと光る黄緑色の燐光。





背中越しでも伝わる葬儀屋の威圧感。





セバスチャンは言葉を発する事も出来ず、静かに息を呑んだ。





「それじゃあ・・・・忠告はしたからねェ〜♪」





葬儀屋は扉を開くと、そのまま闇の中へと消えていった。



-END-

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