超短編夢小説V

□続きが見たかった
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どんな手段を使っても手に入れたかった。





そう、どんな手段でも―。





それはいつもと何も変わらないある日の出来事だった。





「え?この街にテイカーが!?」





芸能人である葬儀屋の人気はすごかった。





そんな人気者である彼が、この街へとやってくる。





「そうなの!恵梨華はアンダーテイカー好きだったでしょ?」





仕入れた情報を楽しそうに話す恵梨華の友人。





「う、うん・・・///」





桃色に染まっていく頬。





そんな恵梨華に友人はニヤニヤしながら言った。





「私にいい考えがあるんだけど」





「い、いい考え・・?」





友人の提案はこうだ。





葬儀屋の気を惹くため、一芝居打とうと言うのだ。





大好きな彼に嘘を吐くのは気が引けるが、どうしても手に入れたい。





恵梨華はグッと息を呑んでその提案に乗った。





「それじゃ、私がうまく誘導してあげるから・・・あとは頑張ってね!」





ブンブンと手を振りながら、友人はその場を去っていった。





残された恵梨華。





「ほ、本当にうまくいくのかな・・・」





少し不安に思いながらも、恵梨華は芝居の準備をした。






















舞台は変わり、ここはステージの舞台出入り口。





恵梨華の友人は、そわそわしながら葬儀屋が出てくるのを待っていた。





「遅いなぁ・・・」





手に白い息をかけ、少し寒そうにしている友人。





そんな時、お目当ての人物がそこに現れた。





友人は慌てて葬儀屋の元へと駆け寄った。





「あの・・!アンダーテイカーさんですよね・・!?」





「ん〜?そーだけど・・・・小生に何か用かい?」





「実は・・・・」





友人は会って欲しい人がいると伝えた。





その人は身体が弱く、不治の病にかかっていると言う。





そんな友達を励ましてあげたいと、自分に出来る事はこれくらいしかないと。





それは迫真の演技で。





友人は恵梨華の為に必死に嘘を吐いてくれた。





「・・・・・・」





ずっと黙って友人の話を聞いていた葬儀屋だったが、その重々しい口を漸く開いた。





「・・・その子はどこにいるんだい?」





「ッ・・・・!あ、会ってくれるんですか・・!?」





「ヒッヒッ・・・・もちろんさァ〜」





ニィッと口角が吊り上っていく。





それは何かに気付いたかのような含み笑いで。





友人は少し首を傾げながらも、恵梨華の待つ場所を葬儀屋に教えた。





その場所は会場から歩いていける距離で、葬儀屋は歩いて恵梨華の所へと向かった。





教えられたバスの中に、一人の少女の影。





葬儀屋はゆっくりとそのバスの扉を開いた。





「君かい?恵梨華って子は・・・」





「ッ・・・・?!」





恵梨華は目を見開いて驚いた。





友人を信じていたとはいえ、本当に彼が来るとは思っていなかったのだ。





「・・・ぁ・・・・あ・・のッ!」





緊張と動揺でうまく喋れない。





頭はぼーっとして、顔が熱くて堪らない。





呼吸はどんどん乱れ、鼓動は高鳴り、胸が締め付けられる想いがする。





恵梨華はとっさに心臓の辺りをギュッと掴んだ。





葬儀屋はその様子をジッと黙ってみていた。





「(小生は嘘だと思っていたけど・・・まさか本当なのかなあ?)」





きっと病気を理由に会って欲しいと言われる事は何度もあったのだろう。





しかし、大抵それは嘘で。





今回も少しからかってやろうという気持ちで来ていたのだ。





「き、君・・・まさか本当に・・?」





葬儀屋の指が恵梨華の頬へと近づいてくる。





恵梨華は恥ずかしさでいっぱいになっていた。





「え、えと・・・・あの///」





呼吸をする事が出来ず、うまく喋れない。





「発作かい・・?こんな身体で小生に会う為にこんな場所まで来てくれるなんてねェ・・・」





葬儀屋の冷たい手が、恵梨華の熱くなった頬に触れる。





「小生は勘違いしていたようだよ」





―ズキッ・・・





良心が痛んだ音がした。



-END-

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