短編夢小説T

□シンデレラ
1ページ/2ページ

【配役】

恵梨華・・・シンデレラ
王子様・・・アンダーテイカー
王子様の執事・・・セバスチャン
シンデレラの姉1・・・グレル・サトクリフ
シンデレラの姉2・・・シエル・ファントムハイヴ
魔法使い・・・ウィリアム・T・スピアーズ













「ちょっと恵梨華!アンタ何さぼってんのヨ!」




昼間から怒られる恵梨華。




「あ・・すみませんグレルお姉様」




部屋の掃除を任されている恵梨華は部屋に来た小鳥たちと戯れていた。




「恵梨華、ここの掃除が終わったら次はこっちの部屋の掃除をしてもらおうか」




シエルが冷たく言い放った。




恵梨華は力なく「はい・・」と答える事しか出来なかった。




居候の身である恵梨華に口ごたえは許されなかった。




綺麗なドレスに身を包むグレルとシエル。




そんな二人とは対照的に恵梨華の着ている服はボロボロだった。




やっと掃除が終わり、次の部屋へ向かおうとした時、




「あァ〜ら、ごめんなさ〜い?」




グレルが水の入ったバケツを蹴飛ばし、掃除したばかりの床を濡らした。




「フッ・・・恵梨華。命令だ、早く片付けろ」




「はい・・・」




そんな状態が毎日続いた。




そんなある日、お城でダンスパーティが開かれるという話が舞い込んできた。




「何でも、今回のダンスパーティは王子様の結婚相手を探すパーティみたいヨ〜♪」




「まぁ、王子様の相手は僕しかいないがな」




シエルとグレルはバチバチと火花を散らし、自分の部屋へと駆け込むと今夜のダンスパーティのドレスを探した。




「ダンスパーティ・・・かぁ・・・」




二人の会話を聞いていた恵梨華。




しかし、恵梨華にはパーティに着ていくドレスなどなかった。




そして夜になり、シエルとグレルはダンスパーティへと出かけていった。




一人寂しく暗い部屋に取り残された恵梨華。




そんな恵梨華を心配してか、小鳥たちが窓に集まっていた。




「行きたいなぁ・・・」




ぼそりと呟いた言葉は、静寂の部屋に消えていった。




すると、どこからともなくカツカツカツ・・・という靴音が響いた。




「ダンスパーティに行きたいのですか?恵梨華」




カチャリと眼鏡をあげながら恵梨華に近づくウィリアム。




「貴方は・・・?」




「私はウィリアム・T・スピアーズ。魔法使いです」




「ま、魔法使い・・・!?」




「えぇそうです。貴方をダンスパーティへ連れて行くよう魔法使い派遣協会から要請がありましたので」




「で、でも私にはダンスパーティに着ていくドレスが・・・」




恵梨華が困っているとウィリアムは恵梨華を外に出るように指示した。




そして高枝キリバサミのようなものを取り出すと、恵梨華に向かってそれを振り下ろした。




パァァ−




恵梨華を光が包み込むと、恵梨華の服はとても綺麗なドレスへと変わった。




「わぁ・・・!」




恵梨華は嬉しそうにくるくる回っていた。




「そして、お城へはこちらの馬車で向かってもらいます」




ウィリアムが先程と同様にデスサイズを振ると、目の前には髑髏の形をした馬車が現れた。




「わ、わぁ・・・」




その不気味な形に恵梨華は少し戸惑った。




しかし促されるがまま、その髑髏の馬車に乗り込んだ。




「いいですか?恵梨華。その魔法は12時を過ぎるととけてしまいます、十分に気をつけてください」




「わ、分かりました。ウィリアムさん、ありがとうございます!」




「お礼などは結構ですので。では、私は次の仕事がありますのでこれで失礼します」




すると一瞬でウィリアムの姿は無くなっていた。




「12時までって言ってたよね、急がなくっちゃ!」




恵梨華は急いでお城へと向かった。




お城へ向かう途中、馬車の中にウィリアムが現れた。




「っ・・・!?」




突然の出来事に驚いた恵梨華は声にならない声をあげた。




「失礼。ガラスの靴を出すのを忘れておりましたので」




そしてウィリアムはガラスの靴を出すと、急いで帰っていった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ