短編夢小説T
□悪い子にはお仕置きを
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「それじゃあ・・・小生は行って来るからねェ・・?」
アンダーテイカーは寂しそうに呟いた。
ふわりと抱きしめ、名残惜しそうに唇を重ねた。
「ちょ・・・!アバーラインさんいるからっ!///」
仕事に呼ばれたアンダーテイカー。
当然依頼主であるアバーラインがいる。
「じ、自分は何も見ておりませんので・・・///」
視線をそらしながら頬を赤くするアバーライン。
恵梨華はため息をついた。
「ヒッヒ・・いい子に待ってるんだよ〜?」
アンダーテイカーは気にする様子もなく、恵梨華の頭を撫でていた。
恵梨華は俯いて恥ずかしさに耐えていた。
「寂しくなったらいつでも小生の所へおいで?」
そう言ってるアンダーテイカーが一番寂しそうであった。
「でも一人で来ちゃだめだよ〜?外は危ないからねェ、執事君に電話して・・・」
言い終わる前に恵梨華が言葉を遮った。
「もう!大丈夫だから!早くいってらっしゃい!」
追い出すようにアンダーテイカーの背中を押した。
「しかし・・最近は美女を狙った連続誘拐事件が多発しておりますので・・・」
アバーラインも恵梨華の事が心配なのだろう。
不安そうな表情を浮かべる二人。
恵梨華はそんな二人を見て大きくため息をついた。
「私は大丈夫だから・・・ほら!お客さんが待ってるよ?」
閉め出すような形で二人を追い出しドアの鍵を閉めた。
ドア越しに二人の会話が聞こえてくる。
「警部補君、君も恵梨華が好きみたいだけどねェ?・・・あげないよ」
「じ、自分はそんなっ・・・!」
「ヒッヒッヒ・・・小生の恵梨華に手を出したら・・・すぐに冥界の門へ送ってあげるからねェ?」
アンダーテイカーの殺気にびくりと肩を震わせた。
「自分は、恵梨華さんが幸せならそれで・・・」
まるで自分に言い聞かせるようにぼそりと呟いた。
「(二人は外でなんて会話してるの・・!)」
丸聞こえのそのボリュームに呆れ返っていた。
「(まぁ・・・心配してくれるのは嬉しいけど・・さ)」
心配しすぎな二人に困り果てる恵梨華だった。
しばらくすると二人の声はなくなり、恵梨華は台所へ向かった。
「よし!それじゃぁ特製の骨型クッキー作ろうかな!」
準備をしていた恵梨華だったが、材料が切れている事に気がついた。
「うーん、買いに行きたいけど・・・一人で行くとアンダーテイカー怒るだろうしな〜」
暫く考えた結果、やっぱりセバスチャンを借りる事にした。
ファントムハイヴ邸に電話をかける。
「もしもしセバスチャン?恵梨華だけど実は・・・」
いつもならセバスチャンが電話に出ていた。
しかし今日は聞き慣れない声が聞こえてきた。
「セ、セバスチャンさんですだか!?い、今、坊ちゃんと一緒に出かけてますだ!」
「あ、メイリンだったの!?ごめんね!いつもセバスチャンが出てたからつい・・」
慌てて謝罪する恵梨華。
それから女の子同士という事もあり、二人は電話で盛り上がっていた。
「そうなんだ〜、メイリンはセバスチャンの事が好きなんだね♪」
「す、す、すすすすきだなんて・・・!///」
専ら内容は恋愛関係のものだった。
「でも、恵梨華さんが羨ましいですだよ・・・坊ちゃんもセバスチャンさんもきっと・・・」
言いかけて慌てて口をつぐむメイリン。
「な、何でもないですだよ!それじゃぁそろそろ仕事に戻りますだ!」
「(・・・?)あ、うん!メイリンまたお話しようね♪」
電話を切ると、急に店内の静寂が気になりだした。
「(誰もいないんだから・・・当然・・だよね・・・)」
一人でいる事に耐えられなくなった恵梨華は、買い物へと出かける事にした。
「(・・少しくらい大丈夫だよね)」
外に出ると、街はとても賑やかだった。
「さて・・・クッキーの材料買いに行こっと♪」
先程までの寂しさはどこへやら。
鼻歌を歌いながら楽しそうに市場へと向かった。