短編夢小説T
□クリスマス終了のお知らせ
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「じゃーん!明日はクリスマスイヴなのだー♪」
恵梨華は一人でクリスマスの準備をしていた。
しかし、恋人であるアンダーテイカーは仕事で出かけていた。
それでも、イヴには帰ってきてくれる約束をしていた。
なので恵梨華は楽しそうに明日の準備をしている。
「やっぱり輪っかは大事だよね!あとはツリーで完成だ〜♪」
そしてツリーの一番上に大きなお星様を飾った。
「準備完了!でも・・アンダーテイカーきっと明日驚くよね♪」
綺麗になった店内。
そして恵梨華は髪を銀色に染め、化粧で顔に傷を作り、アンダーテイカーのコスプレをしていた。
「ヒヒッ・・自分と同じ姿の恋人を見たらどんな反応するかな〜?・・・おっと、するかねェ?ヒヒッ」
口調まで練習したらしく、アンダーテイカーの爆笑する顔が目に浮かんだ。
そしてお気に入りの柩の中に入り、静かに眠った。
ゴーン・・・ゴーン・・・
目が覚めると昼の12時を回っていた。
そっと柩の蓋を開けて店内を確認する恵梨華。
しかしそこにはアンダーテイカーの姿はなかった。
「あれ・・・?まだ仕事なのかな・・・?」
恵梨華が外に出ると、辺り一面銀世界だった。
「わぁ・・・綺麗・・・」
空から舞い降りる無数の白い天使たち。
恵梨華はそっと手をかざした。
手の中に落ちた天使たちは、ほわんと溶けていった。
「迎えに・・・行こうかな・・・」
折角のホワイトクリスマス。
それなのに恋人がいない。
恵梨華は寂しくてアンダーテイカーを迎えに行く事にした。
暫く歩いていると、ウィリアムとグレルが恵梨華を迎えにきた。
「恵梨華、ここにいたのですか」
眼鏡をカチャリと指で直した。
「ウィル!グレル!一体どうしたの?」
「緊急事態ですので、引退した貴方にも手伝ってもらわなければいけなくなりました」
「緊急事態って・・・」
「ンフッ☆簡単ヨ。今夜・・・ロンドンで大勢の人間が死ぬのヨ」
「なっ・・・!」
折角のクリスマスイヴ。
そんな聖夜に大量殺人が行われるなんて・・・。
恵梨華はしぶしぶウィリアムとグレルの後をついていった。
「そういえばアンダーテイカーもかりだされるの?」
”アンダーテイカー”という言葉にウィリアムは眉をぴくりと動かした。
「・・・・・・えぇ、あのお方にも違う死神が要請に行ってます。・・・心配ですか?」
「ん・・・あはは」
恵梨華は笑う事しか出来なかった。
折角のクリスマスイヴ、アンダーテイカーと二人きりで甘い時間を過ごす予定だったのに。
「あらァ〜?そういえば恵梨華、アンタ、デスサイズは?」
「ん?あ、あるよー」
パッとどこからともなくデスサイズを取り出す恵梨華。
「ちょ、ちょっとぉ!アンタのデスサイズでかいんだからぁ!気をつけなさいヨ!」
刃先を目の前に出され、グレルは少し慌てた様子で注意した。
「はぁ〜・・・なんでこんな日にそんなに人が死ぬのよ〜・・」
ぐたぁっとやる気無さそうにへこたれる恵梨華。
そんな恵梨華の姿を見て、ウィリアムがぼそりと呟いた。
「天使の仕業・・・ですよ」
「あのくそ羽虫・・・まだ生きてたのね」
前に一度、死神図書館に忍び込まれた事があった。
以来、恵梨華は天使の事を酷く嫌うようになっていた。
「くそ羽虫・・ですか。まぁ確かに恵梨華を悲しませるなど・・・死に値します」
真剣な表情でさらりと口にするウィリアム。
「あぁん☆ウィルったら〜、アタシの恵梨華を横取りする気かしらぁ〜?」
ばちばちと火花を散らす二人。
恵梨華は慌てて仲裁に入った。
「ちょ、ちょっと!私はどっちのモノでもないよ!?」
すると二人は恵梨華を哀れむような瞳で見つめてきた。